浅田次郎氏が「学徒出陣」70年で講演 「〝戦争〟誰かが書かなくては」 2013年9月7日

 日本戦没学生記念会(わだつみ会)は8月12-14日、「学徒出陣」70年を記念した講演、戦没学生遺稿遺品展を東京都墨田区の江戸東京博物館ホールで開催した。わだつみのこえ記念館との共催。14日には、作家で日本ペンクラブ会長の浅田次郎氏が「『終わらざる夏』をめぐって」と題して講演した。

 同氏は2010年に出版された自著『終わらざる夏』の紹介も織り交ぜながら話した。ポツダム宣言受諾で停戦した後の8月18日、日ソ中立条約を一方的に破棄したソ連軍との戦闘である「占守島の戦い」について語った。北千島の孤島での日ソ戦について「ほとんど知られていないが、この戦闘を知ったときに、いつか小説として書かねばならないと思っていた」と述べた。また、北方領土など政治的な問題に絡む作品を発表することはタブーも多く、実際に公開禁止になった映画があることにも触れ、「ペンクラブは文筆家のサロンではなく、表現を守ろうとする団体だ」とも意見した。

 1951年生まれの同氏は、自身の世代を「人類史上最も幸せな時代に生まれ、社会的苦悩が少ない」とし、「戦争を書くには不謹慎な世代だが、誰かが書かなくてはならないと思っている」「日本史、国史がわからないということは恐ろしいこと。どんな人の幸福も不幸も自分一人のせいではない。この不幸と幸福の来歴は歴史によるものだ」。

 同氏は、昨年ペリリュー島を慰霊したことにも言及し、零戦などの残骸が残っていたことや、日本軍が使っていたとされる「シンガーミシン」があったことを説明。「こんな小さな島で日米あわせて2万人も死んだ。足の踏み場もなかったのではないか。最後はシンガーミシンを崖の下に落として銃をとって戦った」。「第二次大戦では何人死んだかわからない。大きなものであれ、小さなものであれ、絶対に戦争はやってはいけない」「イメージだけで理解するのは危険だ。具体的に理解していかなくてはならない。今後も戦争のことを書いていく」と意気込みを語った。

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