〝尖閣〟共同統治を 東京で「キリスト教平和講演会」 千葉眞氏が提唱 2013年10月12日

 憲法や原発の問題に直面する中で、キリスト者は平和を作り出すためにどのように考え、行動したらよいのか考えようと、キリスト教独立伝道会(西澤正文会長)が9月23日、鎌田利治(キリスト教独立伝道会事務局)、千葉眞(国際基督教大学教授)=写真=の両氏を講師に迎え、「キリスト教平和講演会」を在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で開催した。約50人が出席した。

 「亡国の第一歩」と題して講演した鎌田氏は、日米安全保障条約について、1952年の旧条約と60年の新条約を比較。また、「良心的軍事費拒否の会」会員として、税金を軍事費として使わないよう請願書を毎年税務署に提出していることを話した。

 「この国には憲法9条があるにもかかわらず、毎年軍事費は増強されている」とし、「事実上、憲法の上に安保条約がある形で、憲法を曲げて解釈している」と、自衛隊のカンボジア派遣やイラク派遣、周辺事態法の成立を例に主張。「日米安保をやめて平和憲法に返ろう」と呼びかけた。

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 千葉氏は「憲法と尖閣諸島」と題して講演。自民党の「日本国憲法改正草案」について、「立憲主義発展史から言うと、人権の縮小、自由の収縮、デモクラシー論の後退が見られる」として、憲法改悪だと主張した。

 さらに、世界平和を尊重する観点から、同草案9条の3の「国民と協力して」という部分に着目し、「国民に戦争協力を求めて、場合によっては国民を動員するというように読める」と危惧。「『公益及び公の秩序に反してはならない』という条件が加わるとすれば、自衛戦争に協力しない国民は非国民であるという烙印を押されかねない」とした。

 また、「良心的兵役拒否」の発想がないこと、核兵器廃絶に触れていないことを挙げ、「現代の憲法としては、平和条項の水準が限りなく劣ったレベルであると言わざるを得ない」と強調。「このような改憲がもし行われたら、日本、東アジア、世界にとって不幸であることは言うまでもない。東アジアの和解と平和構築はますます遠のく。熱戦のリスクを抱え込んだ冷戦が20年、30年、40年と続くだろう」と訴えた。

 その上で、「東南アジアや中近東やアフリカでは、日本の平和構築外交がかなり評価されてきた歴史がある」と述べ、「日本は『一国平和主義』を超えて、軍隊を持つ自衛戦争のできる『普通の国』の路線でもなく、『平和構築外交』の路線を担ってきた」と強調。

 尖閣諸島問題については、国際法上の立場では「無主の地」の「先占」という、日本の実効支配に有利な要素があるとしながらも、歴史的には、明治日本の植民地主義の展開の中での領有化だったと指摘。

 ①「領土問題は存在しない」という立場に立って、対立と緊張を抱え込んだ状態にとどまる、②1972年以降の「棚上げ」路線に戻る、③日中、日台あるいは日中台合同の対話による紛争解決・平和構築を推進する、という三つのシナリオを示し、「長期的な展望に立てば、第3のシナリオが重要ではないか」と提言した。

 そして、尖閣諸島と周辺海域の日中台による共同管理、尖閣諸島周辺海域の共同開発と共同環境保護、共同規制水域化を主張し、難題であるとしながらも日中台による尖閣諸島の「共同統治」を提唱。「東シナ海を対立と紛争の海にすることなく、平和と和解の海にする。それによって、東アジア諸国の市民が自由に教育、貿易、商業、文化など、いろいろなレベルで交流し合って互恵的な関係を作り上げていく」ことを訴えた。

【メモ】
 キリスト教独立伝道会=キリストにある絶対的平和主義に立ち、十字架の福音を伝道することを目的に、1998年発足。聖書集会や講演会を開催する他、日本全国の無教会の集会に派遣者を送り、交流を図っている。会員は約180人。

 

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