ヘイトスピーチに対抗 国際ネットワーク「のりこえねっと」結成 「暴力に対峙し、決然と対決」 2013年10月12日

 東京・新大久保をはじめ全国各地で繰り広げられる在日韓国・朝鮮人などへのヘイトスピーチ(憎悪表現)に対抗しようと、ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク「のりこえねっと」が結成され、9月25日、新大久保のライブハウスで記者会見が開かれた。

 共同代表には、上野千鶴子(東京大学名誉教授)、宇都宮健児(元日弁連会長)、河野義行(松本サリン事件被害者)、雁屋哲(漫画原作者、エッセイスト)、北原みのり(ラブピースクラブ代表)、佐高信(評論家)、辛淑玉(人材育成コンサルタント)、鈴木邦男(一水会顧問)、高里鈴代(平和市民連絡会共同世話人)、田中宏(一橋大学名誉教授)、田中優子(法政大学教授)、中沢けい(作家)、村山富市(元総理大臣)、和田春樹(歴史家)の各氏ら21人が名を連ねている。

 会見では中沢氏が資料をもとに、在特会などの「行動保守」によるヘイトスピーチの動向を報告

「外国人参政権」に反対する同様の街宣活動が盛んになったのは4、5年前。今年に入ってから、「良い韓国人も悪い韓国人も死ね!」などのプラカードを掲げ路上で暴力を振るうなど、行動が過激化している。都市部を中心に、インターネットなどを通じて大小さまざまな活動が展開されている実態が明らかにされた。

 出席した共同代表はそれぞれ、「19年前、苛烈なバッシングを実際に体験した。辛い思いをしている人たちのために歯止めをかけたい」(河野氏)、「フェミニズムに対する攻撃に慣れ過ぎて、ヘイトスピーチに鈍感になっている自分に気づいた。デモの参加者は同世代の男性が多い」(北原氏)、「ああいう運動が右翼だと言われるのは心外。排外主義のデモに『日の丸』を使うのは許せない」(鈴木氏)、「政府自らが差別を助長している。そうした動きとの関連性を解き明かす必要がある」(田中氏)と述べた。

 同ネットワークの「設立宣言」は、ヘイトスピーチが「すべての人間には普遍的な尊厳と人権があると考える人々の信念、そして、なによりも平和に生きようとする人々の精神に対して、言葉と物理的な暴力で憎悪を投げつけ、侮辱し、傷を負わせる」とし、「この暴力に対峙し、決然と対決することは、単なるマイノリティ集団の利益のための行動ではない。……民族や国境の壁を超えて、人権の普遍的価値を擁護し、防衛する行動でもある」と謳う。

 真宗大谷派僧侶の知花昌一氏(元読谷村議会議員)をはじめ、宗教者も多く関わっており、在日韓国・朝鮮人の人権問題に取り組んできた田中氏は、「指紋押捺拒否闘争を支えてくれたのはクリスチャン。ナショナルなものを超える視点を持った宗教者たちとの連携も大事」と応答。

 司会を務めた辛氏は、「司法も勉強も大事だが、体を張って『それは違う』と言い続けることが大事」と訴えた。

 具体的には、カウンター活動を含めたヘイトデモ対策、情報収集、告訴、ネットを介した学習会、ウェブサイトの運営、番組制作、「ニコ生」での配信などを予定。ホームページ(http://www.norikoenet.org/)でも広く賛同を呼びかけている。

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