〝苦闘する他国の聖書協会へ継続支援を〟 日本聖書協会総主事・渡部信氏インタビュー 2013年10月19日

世界の動静と情報共有し他国と連帯

 現在146カ国の聖書協会が加盟する聖書協会世界連盟(United Bible Societies=UBS)は2010年に開催された総会で機構改革が行われ、世界連盟理事会が世界連盟議会に今秋から移行することになった。

 それに先立ち、同議会議員24名の選挙が8月に行われ、日本聖書協会総主事の渡部信氏=写真=が世界地区選出の聖書普及の第一人者(Champion for bible engagement and advocacy)として議員に選出された。任期は4年。2007年に世界連盟理事に選出されて以来UBS役員は2度目の渡部氏に、抱負や聖書協会のこれからなどを聞いた。

 

Q1.聖書協会世界連盟(UBS)の組織と、機構改革について。

 聖書協会世界連盟(UBS)は、一人でも多くの人に聖書を届ける理念のもと、相互支援を中心に、募金活動を展開しています。支援金の透明性を高めるために、UBS事務所の経費削減と支援プロジェクトの申請制度を採用しました。それにより年間1500プロジェクトに及ぶ申請が全世界の聖書協会から出されています。また世界4地域のUBS事務所を廃止し、146カ国の聖書協会は24名から構成される世界議会(グローバル・カンシル)を最高決定意思機関とすることによって、組織の簡略化と迅速化を図り、グローバル化の流れに沿う国際組織となりました。

Q2.世界連盟議会議員になっての抱負。

 日本聖書協会は、1937年の創立以来、UBSの中で、特にアジアでは先駆的働きをしてきました。それは非キリスト教国の中で他国を支援できる経済力を授かった唯一の聖書協会だからです。これは長年にわたる日本の信徒の方々の祈りと献金によるもので、今後も有効に支援金を活用し、小さな聖書協会や苦闘している聖書協会に手の届く支援を継続して行きたいと思います。これは過去に日本の教会も海外宣教師によって支えられた「神の愛」の恩返しでもあります。またIT技術や印刷・製本技術などでも、世界の聖書協会に貢献できるでしょう。

 世界的な視点での今日的課題としては、貧困者と文盲者への聖書頒布があげられ、特にアフリカとアジアの一部はこの課題がいまだ残されています。またイスラム、仏教、ヒンドウーなどの他宗教国家・民族への聖書頒布は容易ではありません。聖書協会事務所の設置も許されず、その翻訳事業や頒布活動は水面下で行われており、聖書協会事務所がある146カ国以外に、事務所のない国々を合計すると約200カ国での活動を今後も維持しなくてはなりません。

Q3.世界のキリスト教地図と課題。

 21世紀に入り、明らかに欧米キリスト教圏の支援力が後退しました。それと並行してアフリカ、東欧ヨーロッパ、アジア、中央と南アメリカ圏での聖書頒布の需要は拡大しています。近い未来、南半球と非欧米諸国でのキリスト教信徒数は欧米を凌ぐこととなるでしょう。また聖霊派の台頭も今世紀の特徴です。そういう意味で日本の教会も世界の動静と情報を共有して他の国々と連帯する必要性があるでしょう。

Q4.日本聖書協会のこれからの働き。

 日本はアジア圏の中でもキリスト教信徒人口が1%のままで最少です。けれども聖書に触れている人口は約10%にのぼります。このギャップをどのように克服するかでしょう。日本聖書協会は聖書出版・頒布においては諸教会の後方支援団体でもあり、また聖書翻訳事業においては先導的役割を担う団体です。日本の諸教会との協力、支援なしには事業が成り立ちません。エキュメニカルな立場から諸教会、そして信徒の方々一人ひとりの関係を大切にし、共に祈りつつ日本の福音宣教の前進のために尽力したいと思います。

Q5.標準訳(仮題)聖書の進捗と特徴。

 新翻訳事業は、聖書翻訳のスコポス(目的)を明確にし、教会の伝統の中で読まれる聖書翻訳を意図して2010年から始まりました。カトリック教会を含め、信徒人口の80%の諸教会の支持を得た共同訳となるでしょう。現在は翻訳原稿を日本語担当者と原語担当者が1チームになって推敲している段階で、2016~17年完成を目指しています。最終的にはモニターを通して更に完成度を高め、十分に原稿を精査し、次世代への信仰継承を見据えた「美しい日本文」の標準訳(仮称)聖書を出版する予定です。どうぞこのためにお祈りください。

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