障がいもつ人とない人 ぶつかりあっての50年 福井達雨氏始めた止揚学園、記念の集い 2013年11月9日

 障がい者支援施設の止揚学園(滋賀県東近江市)が10月14日、「創立50周年記念の集い」を行った。国内外から1300人以上の参列者を集めた。同学園は創設者の福井達雨氏が1962年8月に滋賀県近江八幡市の廃寺を改築し、知能に重い障がいをもつ4人の子どもたちと共同生活を始めたことに端を発する。今年は創立51年になるが、東日本大震災の影響で式典を1年近く延期しての開催となった。

 同学園の名前である「止揚」とは、障がいをもつ人とない人がぶつかり合って、そこから一つの新しい世界を生み出したいと、ヘーゲルの哲学用語から名づけられた。現在、園生38人と職員37人、その家族ら約100人が共に生活する。入園者の最年長は64歳になった。

 同学園は今回の式典を迎えるにあたり、 「見えるものより 見えないものを」(コリント人への第二の手紙4・16~18)の聖句を主題に2年間にわたって準備してきた。

 第1部の記念式では、同学園を支えてきた支援者らとともに礼拝をもった。親の会や兄弟姉妹の会の代表あいさつに続き、福井光子理事長が「50年の歩みに感謝して」と題し、あいさつ。「これからの50年は、これまでの50年より困難かもしれません。しかし止揚学園はこれからも優しい心を失わず、入園している仲間たちの笑顔を消さない歩みを続けて参ります」「聖書の御言葉に従って目に見えるものより目に見えないものを大切に歩んでいきますので、今後とも皆さまのお祈りとお支えをいただけましたら喜びです」と語った。

 礼拝後には、園生による劇「ブレーメンのおんがくたい」の披露や、福井達雨氏と、歌の好きな保母たちで結成した「止揚シスターズ」による歌とトークのひと時をもった。

 止揚学園の生活の中から生まれた歌を交え、福井達雨氏が、イエス・キリストと障がいをもつ人たちと出会い、共に歩む中で教えられたことや感じたこと、そして「目に見えるものではなく 目に見えないもの」に心を注いでいくことの大切さを訴えた。

 「これからのわたしたちの場は、心を基にする福祉は弱くなり、お金を大切にする福祉企業が盛んになり、強くなります。そして非合理が歩みをしている知能に重い障がいをもった仲間たちはどうしても切り捨てられてしまいます」「見えないものを大切にする止揚学園はこれからもしんどい、厳しい道を歩まなければなりません。皆さまの温かいお祈りとお支えがあれば、わたしたちは謙虚と希望、忍耐と笑顔や感謝を失くさずに歩めます。わたしたちに困難に立ち向かう勇気を与えてください」。

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