画家・田畑弘氏 「聖書描かずにはいられない」 作品集『一つの星』出版、個展も開催 2013年11月9日

 ブラジルのアマゾン川流域で原住民と生活を共にする中で聖書へと導かれたという異色の画家・田畑弘氏。その作品集『一つの星』(幻冬舎ルネッサンス、3150円)=写真=が11月5日に出版されるのに合わせて、個展「田畑弘展」が13日~19日、ヒルトンホテル東京(東京都新宿区)のヒルトピアアートスクエアで開催される(同氏主催の真樹会「レザン展」も同時開催)。最新のリトグラフを中心とした作品約50点が発表される。

 田畑氏は1963年にパリに渡り、創作活動に没頭。現地のいくつかの展覧会で賞を取り、複数の画商との契約も決まり、仕事の目処がついた頃、南米に渡った。そこでブラジルのアマゾン川流域に生活するインディオの存在を知った。同氏はその時、「なぜかわからないが、自分でもどうすることもできない強い力を感じた」という。結局、そのままパリへは戻らず、十年余りの間インディオと関わることになった。

 「彼らの生活には祈りがある」と同氏は言う。「どの集落においても弱い人(女性、子ども、年寄り)を優先する。生活の中には歌があり、自然への忍耐があり、怒りがない」

 インディオたちの純粋な心と、時には生命を脅かす厳しい自然の営みの中で、それを侵すことなく、素朴に、そして豊かに暮らす様は、「エデンの園」さながらに非常に美しく、同氏に衝撃を与えたという。彼らと生活を共にする中で体験した数々の事柄は、同氏を「聖書」へと導いた。

 田畑氏は、以来「聖書」こそが究極のテーマであるとして制作を重ねてきた。そして三十余年が過ぎた。その間、テーマのあまりの重さ、深さに幾度となく圧倒され、追い詰められ、七転八倒しながらも、「描かずにはいられない」という衝動に突き動かされて制作活動を続けてきたという。

 『一つの星』は、98年に開催された個展「一つの星」に発表された作品の中から、旧約聖書をテーマにした作品50点、新約聖書をテーマにした作品50点の計100点を1冊の作品集にまとめたもの。

 同書について真樹会事務局の古宮正雄氏は、「聖書を題材にした、ここまで本格的な、言わば絵画による『聖書物語』とも言える本書は、日本では初めて。圧倒的な色彩と構図で表現した油彩とリトグラフです。描くこととは何か、人間とは何か、また、神と人間が格闘する聖書の宇宙が、異才により深く描かれています。価値観が多様化し、行き先を見失いつつある現代社会において、わたしたちはどのように生きるべきかを、静かに、しかし強烈に問いかけている作品は、キリスト者でなくとも必見です」と話す。

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