〝知る権利〟守ろう 「特定秘密保護法案」衆院通過 宗教者〝戦前の弾圧〟再来懸念 2013年12月7日

 機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する「特定秘密保護法案」が11月26日、衆院本会議で可決され、参院に送付された。同法案が成立すれば、国民の「知る権利」が侵害されることを懸念する意見が現実のものとなりかねない。宗教者からも反対の声が上がっている。

 26日午後には、衆議院第2議員会館で、「戦争する国をめざす秘密保護法に反対し、いのちを守ろう」宗教者アピール緊急集会、および「集団的自衛権の行使に反対し、いのちと憲法9条を守ろう」宗教者共同アピール発足集会が合わせて開かれ、全国から宗教者約100人が集まった。

 アピールは「宗教者九条の和」(事務局・日本山妙法寺内)が発表したもので、前者は「国民の知る権利を奪うことは、とりもなおさず、戦前の情報統制の再来であり、日本が再び『戦争する国』になっていくことです」と訴える。25日現在の賛同者は3003人、賛同団体は19団体。

 集会で松浦悟郎氏(カトリック正義と平和協議会会長)は、希望を失わず、非暴力平和の世界実現のために粘り強く行動していこうと呼びかけた。
 集会終了後には、同法案成立に反対する人々であふれる中、参議院議員会館前で路上祈念集会を行った。 

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 日本宗教者平和協議会(荒川庸生理事長)は6日、声明「『秘密保護法案』に反対します――戦前の弾圧体制の再来を許さないために」を発表した。

 声明では、「『知る権利』や報道や言論・表現の自由は配慮されるものではなく、当然の権利」とした上で、「そもそも、憲法上の主権者である国民に秘匿すべき情報はありえないはずです。私たちの政治に参加する権利は情報に接し、判断することなしには保障されません」と強調。「主権者である国民全体の『知る権利』を土台から打ち壊し、ひいては『信教の自由』『思想信条の自由』などの基本的人権の侵害につながるものであり、主権者がその主権を適切に行使できない状況は、民主主義の危機です」と訴えた。

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 日本キリスト者平和の会(平沢功事務局)は17日、「秘密保護法案に反対するアピール」を発表。同法案について、「まさに戦前の治安維持法と同じ危険な法律」とし、「国家権力の情報統制の行き着く先は、戦前のような国家総動員による戦争体制しか考えられません」と主張した。

 そして、日本の教会とキリスト者がかつて侵略戦争を支持したことを反省した上で、政府がやるべきことは「愛と正義と平和の道を歩むこと」だとして、同法案をはじめとする戦争準備のためのあらゆる企てに反対することを表明した。

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 日本キリスト改革派教会「大会 宣教と社会問題に関する委員会」(弓矢健児委員長)は22日、「私たちは『特定秘密の保護に関する法律案』の法制化に反対します!」と題する声明を安倍首相宛に提出した。

 声明では、「国家の役割があらゆる国民の諸権利を公平に守り、自由と平和を確立することにある」との信仰的立場を示した上で、①恣意的な秘密指定は国民の知る権利を侵害し、情報管理社会に道を開きます、②法案の罰則規定は報道の自由と基本的人権を侵害します、③法案は日本国憲法の平和主義の原則に反し、日本を戦争のできる国に変質させます――という理由から法制化に反対。

 「治安維持法」に触れ、「『特定秘密保護法』もひとたび制度化されれば、政府の恣意的な秘密情報指定によって国民の自由と権利が広範囲に侵害されてしまいかねない極めて大きな危険を孕んでいます」と強調した。

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 日本同盟基督教団社会局(山口陽一局長)と「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は25日、「『特定秘密保護法案』の法制化に反対する声明」を安倍首相宛に提出。
 声明では、「この法案は、主権者である国民の知る権利や取材・報道の自由を大幅に制限することになり、民主主義の精神に反し、憲法によって国家の権力を制限する立憲主義にも反しています」と主張。さらに、同法案が、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」と一体となるものだとし、「憲法九条の解釈改憲によって集団的自衛権の行使を認め戦争への道が開かれたならば……基本的人権を奪うものとなることは明らかです」と述べ、同法案を廃案とすることを求めた。

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 基督兄弟団理事会(小平牧生理事長)と日本ホーリネス教団教団委員会(中西雅裕委員長)は共同で26日、「私たちは『特定秘密保護法』制定を危惧します」と題する声明を安倍首相宛に送付した。

 声明では、「プロテスタントの中で、歴史上最大の弾圧を受けた旧日本基督教団第6部ならびに第9部に属した諸教会をルーツに持つ教団」として、同法案に危惧を表明。「1942年、治安維持法違反容疑によって所属する牧師たちが検挙され、宗教団体法によって教会が解散させられた経験を自らの歴史に刻む者たちとして、本法案が戦前の治安維持法に劣らない危険性をはらんでいることを見過ごすことはできません」と強調。

 ①「国益に反する」と見なされた思想・信条が抑圧される危険、②言論・表現の自由が抑圧される情報統制の危険――を挙げて、「戦前の情報統制に類似する危険性を持つ」同法案に反対し、廃案とするよう求めた。

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