「るつ記記念基金」 〝貧困克服には教育必要〟 フィリピンの青年支援30年 2013年12月7日

 1983年にフィリピン・ルソン島ボトランでおぼれかけた現地の2人の友人を助けようとして24歳でいのちを失った藤崎るつ記さんを記念して同年創設された「るつ記記念基金」が11月で創設30周年を迎えた。

 同基金は、るつ記さんの父・藤崎信牧師が当時牧会していた日基教団日立教会(茨城県日立市、島田進牧師)が創設した。フィリピンで大学や専門学校などの高等教育を受けようとする貧しい青年たちに奨学金を贈呈し支援することを目的としている。84年よりNPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンの支援者となることによって奨学金の贈呈が始められ、2006年からは日本聖書神学校を通してネグロス島にあるシリマン大学神学部生にも奨学金支援が拡大されてきた。

 基金には30年間に約6200件、5200万円の献金があり、現在までの奨学生の累計は98人。来年11月までには100人に達する見込みで、日立教会では「Hello 100」(ハロー・ワン・オー・オー)とのスローガンを掲げ、3種類の缶バッジを作成するなど、記念プログラムを推進している。

 11月17日には同教会で藤崎信牧師を招いて記念礼拝と祝会が催された。るつ記さんの母校である桜美林高校、ルーテル学院大学の関係者や、チャイルド・ファンド・ジャパン関係者など90人が参加した。

 祝会では、るつ記さんの人となりや思い出などが話され、故人をしのんだ。同教会基金委員会(和田直委員長)は、基金の歴史やフィリピンの厳しい貧困の現状、40人を超える奨学生や関係者からのメッセージを紹介し、今後の活動計画を報告した。

 また、台風30号によるフィリピンの甚大な被災や奨学生たちの消息についても報告し、緊急支援募金を呼びかけた。大きな被災の根本には貧困があり、基金発足当時からの理念である「貧困を克服するためには教育が必要」だとして、そのための基金への協力依頼を行った。

 藤崎るつ記さん=1958年茨城県日立市生まれ。父・藤崎信牧師が牧会する日立教会で成長する。77年に相模原教会で受洗。翌年、日本ルーテル神学大学に入学、在学中にフィリピンに渡りワークキャンプに参加。81年にはインド、バングラディシュなどで医療救護活動ボランティアを行う。82年に再びフィリピンに渡り、フィリピン大学の「社会事業と地域開発研究所」で実習を開始したが、翌年ボトランの海岸で行われたボランティア仲間との交流会で亡くなった。「るっちゃん」の愛称で親しまれ、84年には『るっちゃんの旅立ち』(キリスト新聞社)が刊行された。

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