蘇る熱い思い『日本YMCA人物事典』 YMCA縁の人物400人程収録 2013年12月25日

 YMCA史学会が編集した、YMCAに縁の人物414人を収録した『日本YMCA人物事典』が日本YMCA同盟からこの秋に出版された。本書を手にした人は「あの人も、この人もと懐かしい思いとともに、当時の熱い思いが蘇る」と話す。

 2003年に日本YMCA同盟創立百周年記念として『新編日本YMCA史』を同史学会が手掛け出版したが、その後「時代を超えて各地の同労の士の名前を心に刻みたいとの願いは高く」(本書序文・齋藤實)、5年をかけて本書の出版となった。

 執筆者の一人でもある鈴木範久氏に本書について語ってもらった。

 

「超教派的団体」から日本の近代史各分野に人材を輩出
鈴木範久(YMCA史学会顧問・立教大学名誉教授)

 YMCA史学会の人々の手により、初めて『日本YMCA人物事典』が刊行された。ふつう事典類は、必要に応じて用いるものであって通読するものではない。それが、本書を覗き見するうちに、つい引き込まれてしまい、結局、通読してしまった。

 日本のYMCAの起源とみられる東京青年会の創立は1880(明治13)年である。キリスト教禁制の高札撤去からわずか7年後だった。このことは、近代日本のキリスト教の歩みと日本YMCAの歩みとが歴史的に等しく、登場人物のうえでも重なる。

 『日本YMCA人物事典』のなかに記載されている人物をみて、日本キリスト教史のなかで「YMCA人物」の占める位置の大きさを改めて確信した。それだけでなく、日本全体の近代史、政治、経済、思想、文学、福祉、医療などの各分野においても、逸することのできない人材を輩出している。

 YMCAは、超教派的な団体であり、平信徒の団体である。そこには、一般的な日本キリスト教史にみられがちな教派間の争いも、外国の宣教団体との争いもほとんどない。日本のキリスト教史の叙述も、本事典に登場するような人物を中心に描いたならならば、その内容は、もっと活き活きするのではなかろうか。

 また、私自身、個人的に親しかったり、知っていた人々も数多く登場している。本書により、生前には気づかなかった故人の半面を知らされることも少なくない。YMCA史学会に属する会員たちのなかには、長年、日本全国の市Yや学Yで活躍してきた人々がいて、同じように記載人物を深く知っている。それに加えて日ごろの研究会による研鑽の結果が、本事典のような有意義な書物を生んだと思う。

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