〝和解と平和願い努力した人々の心踏みにじる行為〟 安倍首相の靖国参拝に抗議相次ぐ 2014年1月18日

 安倍晋三首相が、政権発足から1年となる12月26日、靖国神社を参拝した。首相参拝は、2006年の小泉純一郎首相以来で、国内外から批判や懸念が相次いだ。宗教者からも抗議の声が上がっている。

 26日、日本カトリック正義と平和協議会(松浦悟郎会長)は抗議声明を発表。戦前、戦中に天皇制軍国主義の精神的支柱としての役割を果たしてきた靖国神社に首相が参拝することは、「国家が60年前の戦争を美化し、肯定することを意味し、日中戦争、アジア・太平洋戦争で亡くなられた二千万人を越す人々と、今も心身ともに被害の苦しみから解放されない人々の心を踏みにじるもの」と主張。「憲法20条に定められた『政教分離』の原則に違反する行為であり、かつ、国民に国家のために犠牲になることを強いる道を開く行為に他なりません」と抗議した。

 特に今回の参拝は、「戦後なかったほど緊張の高まるこんにちの東アジア情勢に、更に一層の緊張をもたらすもの」であり、「安倍首相は、東アジアのみならず全世界の人びとに日本に対する不信感を抱かせました。これまで和解と平和を願って努力してきた人々の思いを踏みにじり、今日まで私たちが築き上げてきたアジアの人々との友情と信頼を著しく傷つけました」と述べ、参拝を容認することはできないとした。

 日本宗教者平和協議会(森修覚事務局長)は同日、「安倍晋三首相の靖国神社参拝に抗議する」談話を発表。参拝は憲法の「政教分離の原則」をないがしろにするものであるとして、厳しく抗議した。「靖国神社と公式にかかわりをもつことは靖国神社の戦争や戦犯に対する評価、過去の侵略戦争を美化し、『正義』とする靖国神社の歴史観を公に肯定・追認することにほかならない」とし、「戦没者を『英霊』とするもとでは戦争の加害の本質は隠され、侵略戦争への反省がでてくる余地はない」と強調。「戦前・戦中の宗教教団の戦争責任を自主的に解明して懺悔告白し、この懺悔から憲法9条擁護の運動に50年余にわたって取り組んできた私たちは、戦争する国づくりと新たな『英霊』づくりを断じて許すわけにはいかない」と訴えた。

 日基教団西中国教区靖国神社問題特別委員会(鎌野真委員長)も同日、「靖国神社参拝に対する抗議」を発表。首相の靖国参拝について、福岡地裁や大阪高裁において違憲判決が下されていることに触れ、「明らかな司法権への侮辱」と非難した。

 日基教団北海教区(久世そらち総会議長)は27日、抗議声明を発表。同教区が4月の定期総会で「靖国神社問題に対する取り組み推進決議に関する件」を採択し、首相、閣僚の靖国参拝に反対することを決議したことに基づき、今回の参拝に厳しく抗議した。

 日本バプテスト連盟理事会(奥村敏夫理事長)は28日、「安倍晋三内閣総理大臣の靖国神社参拝に強く抗議する」と題した抗議文を発表し、強い憤りを表明。「靖国神社への安倍首相の参拝は、単なる個人の信念の問題ではなく、靖国神社が持っている歴史観・性格を肯定することであり、侵略戦争の歴史を反省し、アジア諸国だけでなく世界に対する約束である『平和憲法』を変えようとする明確な意思表示」だとして危機感を示した。

 日本自由メソヂスト教団(永井満総会議長)は29日、教団声明を発表し、特定秘密保護法案の強行採決と安倍首相の靖国参拝に言及して、首相が目指す日本の未来像に疑念を抱いた。靖国神社については、「『A級戦犯』が合祀されているだけでなく、神社内にある施設には先の戦争で使われた特攻兵器などが展示されるなど、戦前の日本の戦争を正当化する雰囲気が濃厚」とし、「鎮霊社にも参拝し『不戦の誓い』をされたとしても、近隣諸国の理解は得られない」と主張した。

 日本同盟基督教団「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は同日抗議声明を発表し、首相に対して、公務員の憲法尊重擁護義務を遵守すること、憲法の理念に「反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」ことに力を注ぐこと、真摯な歴史認識に立って諸外国との関係改善に努力すべきことを求めた。

 日本キリスト改革派教会(吉田隆代表役員・大会議長)は30日、抗議声明を発表。「内閣総理大臣の靖国神社参拝は、正当化の論理如何にかかわらず、かつて日本が侵略行為を行ったアジア諸国の人々の心を踏みにじり、結果として戦後日本が築き上げてきた和解の努力とその成果を自ら破壊する行為です」「首相が、かつて国家神道の宗教施設であり、戦死者を英霊として祀る靖国神社に参拝することは、政教分離という憲法原則を大きく踏みにじり、国民の信教の自由を脅かしかねない行為です」という2点を指摘して強く抗議した。

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 政教分離の侵害を監視する全国会議(「政教分離の会」、西川重則事務局長)は1月6日、安倍首相が同日伊勢神宮を参拝したことに対して抗議声明を発表。伊勢神宮について「信教の自由の否定にもつながる、戦争への深い関わりを持つ歴史を想起せざるを得ません」とし、戦前戦中に日本がアジア諸国に対して侵略・加害の歴史を繰り返したことを指摘。伊勢神宮の関わりを否定することはできないとして、首相としてその教訓を心に刻み、「憲法を尊重擁護する義務と責任に留意し、伊勢神宮に参拝しない態度を表明すべき」と訴えた。

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