もっともっと行きやすく 八木谷涼子さんの著書重版 各地の教会で実践広がる 2014年2月22日

 初めて教会に来る「新来者」の視点で書かれた『もっと教会を行きやすくする本』(キリスト新聞社)が早くも重版となり、話題を呼んでいる。昨年末には、著者である八木谷涼子さんを招いた有志の牧師たちによる自発的な読書会も行われ、各地から牧師たちが参加して熱心に感想などを語り合った。

 同書は、教派を超えて全国100以上の教会を訪ねてきたノンクリスチャンの著者による『ミニストリー』誌の連載「新来者が行く」を単行本化したもの。「新来者」として礼拝に出席した体験をもとに、さまざまな教会の対応や取り組みについて比較しながら、教会をより「行きやすく」するための提言が綴られている。連載後の追加取材で大幅に加筆され、自筆による豊富なイラストが収録されているのも特徴。都内の専門書店では発売前から予約の問い合わせが相次ぎ、ネットショップでも品切れの状態が続いていた。

 今回、読書会を企画したのは雑誌での連載時から注目していたという久米淳嗣さん(日本ナザレン教団学園教会牧師)と中澤信幸さん(日本バプテスト教会連合大野キリスト教会)。都内の教会を会場として提供してもらい、近隣の牧師たちに声をかけ、小規模で互いに深く話し合えるような雰囲気づくりを心掛けた。

 招かれた八木谷さんから参加者への注文は、事前に同書を熟読してくること。埼玉、千葉、神奈川などの首都圏を中心に、遠くは九州から参加したという牧師たちは、それぞれの属する教会の実情と照らし合わせながら、感想を語り合った。

 「献金や聖餐の意味について礼拝内外で説明することが少なく、新しく来た人にも空気で察してほしいという甘えがあった。受付の対応が担当者によって違う点も課題」と話す牧師は、自身の教会にも該当する箇所に印を付け、役員会の中で同書を回覧。実際に、礼拝や集会で「受付」「案内係」という名札を付けるようになったと報告した。

 また、「牧師として言いにくいことも本書を通してだと言いやすい」「新来者の素朴な疑問に気付けていなかった。私の教会は正面玄関がわかりにくく、あまり人を歓迎する雰囲気ではない」などの声も出された。

 八木谷さんは、「新しい人を歓迎して受け入れる教会と、『どなたでもお越しください』と言いながら内心は内輪だけでいいと思っている教会とに分かれる。もし本当に来てほしいと思っているのであれば、どんな人に来てほしいのかをまず考えてほしい。そうすれば自ずと対応は変わってくるはず。外の看板にしてもホームページにしても、すべて誰のために、何のために掲示しているかが重要。おそらく教会員は、自分の教会の看板を見ていない。まったく知らない人がどんな印象を受けるかという観点から改めてチェックすることは少ないのではないか」と提起。  教会を訪ねる際に知りたいと思う情報として、礼拝の終了時刻と出席人数、駐車場の有無、教会へのアクセス方法などを挙げ、これまでに訪ねた教会での体験を紹介した。

 参加者たちは、検索を前提にしてキーワードが印刷された名刺や、近隣の教会を網羅した絵地図、週報など、それぞれに工夫を凝らした実物を交換しながら、互いの意見に熱心に聞き入っていた。また、礼拝後の新来者の紹介方法や、教会での電話対応について実演を交えながら、留意点などを話し合った。

 あるブログには、こんな感想も寄せられている。「この本、教会の役員さんにも差し上げて、読んでいただいて、話し合いながら、もっと教会に『来やすく』する方法を考えたいと思います。同時に、『来やすい』だけでなく、続けて『来たくなる』ことが必要で、それは、やはり、メッセージの内容と伝え方(賛美歌の選び方、礼拝の形式、説教の聞きやすさ、分かりやすさ、響き方)かなと思います」

 担当編集者によると、同書のタイトルは厳密に言えば『もっと教会を行きやすい場にする本』だが、『教会に(へ)』では読者対象が『新来者』になってしまうため、あくまで教会向けの本として『教会を』にしたという。

 そもそもサービスに徹して「行きやすく」する場なのかという議論も含め、しばらくは各地の教会でさまざまな反応が期待できそうだ。


ネット上に寄せられた反響

・もし教会がサービス産業の一つとすると如何に顧客無視営業やっているか、みたいに映る指摘が盛りだくさん。

・いずれも教会が当たり前に行っているけど、言われてみればたしかに…ということの連続だった。

・考えてみれば、日本の教会では伝道・宣教論に関する議論や書物は賑やかだが、一方で実際に教会の働きの日常を外部の目線で描いたこのような本はなかったと思う。

・さくさく読めて、大事な気づきを与えてくれる良書だと思う。全ての教会人が読むべき本、と言えると思う。気をつけているつもりでも、こんなに盲点があるのかと驚かされる。

・たくさんの人が集まる、開かれた教会を作りたいと願うすべての方にお勧めしたい本です。すぐ手渡せる「新来者セット」や、牧師の名札などのアイディア、ぜひ取り入れたいと思います。

・期待にたがわぬ面白さ。カルヴァン派の極小教会で育ち今は地域で2番目規模のカトリックに通う、そしてあちこちいろんな教会行った立場から、「それそれ」「あるある」と思うところが非常に多い。

『もっと教会を行きやすくする本』 八木谷 涼子

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