「宗教者九条の和」憲法講演会 〝戦争する国とならないために〟 2014年3月15日

 「日本が戦争する国とならないために、宗教者は祈り行動しよう」という呼びかけのもと、「宗教者九条の和」が主催する憲法講演会「憲法九条と集団的自衛権」が2月22日、カトリック麹町聖イグナチオ教会ヨゼフホール(東京都千代田区)で開催された。カトリック大阪大司教区補佐司教の松浦悟郎氏と、元外務省国際情報局局長の孫崎享氏の講演と対談に、約250人の参加者が耳を傾けた。

松浦悟郎氏「平和の歩み手放さず」

 松浦氏は、各地方で宗教者が市民運動と連携して憲法9条を守る活動を行っていることに触れ、その理由を「憲法そのものの価値と、宗教者がそれぞれ信念を持っているところが、通じ合うものがある」と語った。単に宗教団体に属することが宗教者なのではなく、「自分のよって立つ宗教や信仰の価値観から、自分の人生や社会のあり方を選び取っていく」のが宗教者だと述べた。

 そして、あらゆる宗教が一致できる根本として、「人間一人ひとりは皆大切であるということ」「人が人を大切にするという関係性が実現する平和」という2点を提示。「人間の尊厳は普遍的である」として、「わたしたちが『平和』と言う時は、すべての人の関係性を眺めながら平和であってほしいと願う」と強調。「これは宗教者の特権ではない」とし、同じ感覚を持った人たちと連帯して平和を築いていくことができるのだと述べた。

 最後に、「未来を生きる人たちのために、今この時代で選ぶことができるのはわたしたちしかいない。戦後69年間保ってきた平和の歩みをわたしたちの時代で手放してよいのか。未来の子どもたちに何を残すのか。世界の人たちは本当に日本の憲法を守ってほしいと願っている」と訴えた。

孫崎享氏「集団的自衛権必要なし」

 ウズベキスタン大使、イラン大使、防衛大学校教授などを歴任してきた孫崎氏は、集団的自衛権について「まったくその必要はない」と主張。日米安保条約の第五条には、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とあり、「何も新しい法体系を作る必要はない」と強調した。

 そして、集団的自衛権では、「日本国の施政の下にある領域」を「全世界」に拡大し、「いずれか一方に対する武力攻撃があった時」という縛りを削ろうとしているとし、その行使によってテロを招く危険性があることなどを指摘した。

     ◇

 両氏の対談では、孫崎氏が「軍事」について論じ、「第二次世界大戦以降は大きな変動が起こり、戦争自体を回避するシステムになってきている」と解説した。「今、日本人が中国にかなりタカ派的な発言をしている。後ろにはアメリカがいるからそう思っている。しかしアメリカが尖閣問題で日本側に立って中国と戦うことはあり得ない。そうすると軍事的には中国との関係で日本が勝つというシナリオはない」と強調した。

 同氏は最後にソーシャルメディアの重要性を指摘。「ソーシャルメディアで自分が発信できる状況になってきた。皆さんが一人ひとり発信していく。これが流れを変える大きなチャンスだと思う」と語った。

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