キリスト者であること、軍人であることは同義 映画『ローン・サバイバー』原作者に聞く 2014年3月22日

米海軍特殊部隊「シールズ」創設以来の惨事を描いた映画『ローン・サバイバー』が21日から全国公開される。05年、アフガニスタンの山岳地帯で作戦任務に就いていた4人のシールズが一つの行動をきっかけに、200人を超すタリバン兵に囲まれてしまう……。本作は極限状況の中で奇跡的に生還した一人の元兵士、マーカス・ラトレル氏=写真=の実話だ。このほど来日した同氏に、戦場での経験や、キリスト教信仰を聞いた。

 タリバンとの激しい銃撃戦で仲間が次々に倒れ、自身も負傷し絶望的になっていたとき、詩篇第23篇を何度も心の中で繰り返し、〈死のときにさえも見捨てられはしないという教えにしがみついた〉と、自著『アフガン、たった一人の生還』で告白。シール部隊のすべての礼拝、葬儀でこの詩篇が繰り返し朗読されるのだという。

 実際の作戦中は、目の前にあることだけに集中する。そして戦況は「笑ってしまうぐらいに毎日刻々と変わっていく」と話す。

 「軍人は、神とか、国、自由を守るために忍耐している。戦地でなぜ戦えるのか? というと、やはり一緒にいる仲間のためです。国旗を背負っているとか、そんなものはすべてすっ飛んでしまう。純粋にサバイバル。それを仲間といかに築けるか、ということ」

 軍隊にいるチャプレンは将兵のカウンセリングも行う。辛い時や重要な任務の時にはどんな話をしてくれるのであろうか。

 「軍のチャプレンは本当に唯一無二の存在だと思う。何といっても、僕ら軍人に、命を奪うことを許可しなければならないのだから。当然、聖書には戦争史や黙示録など描かれてはいるけれども、そうした立場にいながらも、そういうことを許すことは難しいことだ。もちろん相手の敵側も同じで、それぞれの宗教によってきっと同じ状況にあるとは思う」「我々は軍人として命を奪うことをまず身に付け、そこからチャプレンが、戦闘で命を奪ったとしても地獄に落とされることはない、と僕らを安心させてくれる。それは神の仕事だから、と言ってくれるんです。特に、何か告解したい時、チャプレンがいることは本当に心の支えです」

 キリスト者であることと軍人であることはどう存在しているのかを尋ねると、「自分の中では同義」と即答したラトレル氏。英語では軍人を「サービスマン」とも言うのだと強調する。

 「国に対するサービス、信念や信仰に対するサービス、そして同胞である人間に対するサービス、すべて一つだ。それは自分の戦闘に対する能力を超えたものだと思う。天国の門で聖ペトロに『お前は今まで地球で何をしてきたのか?』と訊かれた時、僕は『プロテクター(守護する者)』と言うだろう。そして自分の信じるもののために戦った、と言うことができる。戦争はすべてそうだからね」。

 ラトレル氏は07年に一等兵曹の位で退役。2010年、ローン・サバイバー財団を設立。米軍兵士とその家族に、教育・リハビリなどを提供している。

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