日基教団 原発廃棄前面に 東日本大震災国際会議 2014年5月3日

原子力安全神話に抗して‐フクシマからの問いかけ‐

 東日本大震災から3年目を迎えた3月11日から14日まで、日本基督教団(石橋秀雄議長)は初めての国際会議、東日本大震災国際会議を、同会議に協賛する東北学院大学(宮城県仙台市)を会場に開催。主題「原子力安全神話に抗してーフクシマからの問いかけー」のもとに一般公開の記念礼拝には500人が参加。10カ国の海外教会からの代表60人が参加しての会議は250人(部分参加含)で持たれ、講演、報告、パネルディスカッションなどのプログラムが行われた。後日発表の大会宣言は、「原発の廃棄」を全面に打ち出したもので、4月11日に閣議決定した、原発再稼動を前提としたエネルギー基本計画に向き合うことになり、信徒10万人の同教団の今後が注目される。

 今回の国際会議の目的は、福島第一原子力発電所の震災での事故にみられる原子力発電が抱える課題と取り組みを共有し、会議による成果を内外に発信することが挙げられる。

 多彩なプログラムの中から3日目の海外教会、ドイツ、スイス、カナダからの報告の骨子を次に紹介する。

       ドルテ・ジィーデントプフ氏

 

 ドルテ・ジィーデントプフ氏(連帯福音宣教会・医師)は、チェルノブイリ事故後に自身が所属する核戦争防止国際医師の会ドイツ支部が開始した、核兵器及び原子力廃絶運動を報告。福島の事故に触れ「放射線は目に見えず、臭いも、音もしないので、原子力発電所に賛成か反対かは信条の問題でした。しかしスリーマイルやチェルノブイリ、さらに福島の事故で、人の手に負えない問題であることに人々は気づき始めた」また「何度もベラルーシュへの訪問を重ねることで、政治家がどのようにチェルノブイリの惨事を隠蔽しようとするのかを学んだ」とし、キリスト教徒として世界の生命と自然とを保護する責任があると話した。

       オットー・シェーファー氏

 オットー・シェーファー氏(牧師・生物学者)は、エネルギーの問題は、神学ならびに倫理を考える上で避けることの出来ない課題とし、スイスプロテスタント連盟が取り組んだ中の『エネルギー倫理』(2008年発行)を紹介。化石燃料や原子力を元にした現代の熱エネルギーシステムの時代は終え、産業システムの変化、転換期だとし、エネルギー問題への倫理的アプローチから教会はこの社会における理解、より重厚な解き証しに貢献できるはずだとした。

   (写真右)メアリー・ルー・ハ―リー氏

 メアリー・ルー・ハ―リー氏(教育者・化学研究者・環境問題コンサルタント)は、核問題に関してのカナダ合同教会の姿勢を紹介し、日本が直面している原発問題について共有することがこのプレゼンテーションの目的だと報告した。合同教会が40年以上に渡り、核問題が提示する倫理や、社会、環境問題について積極的に啓蒙活動と主張を行ってきたことから、「核兵器の廃絶と原子力発電からの脱却、効果的な放射能廃棄物の管理という課題を達成すること」が求められるとし、さらに今も続く安全神話への傾倒について、「カナダでの核廃棄物の管理体制などが産業界の主導で実行に移されていること」の危うさ、日本での原子力発電所の地勢によるリスクの高さの指摘があった。

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人類の罪と受け止める 日本基督教団  総会議長 石橋秀雄

 日本基督教団として初めての国際会議の開催だ。今回の東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、核施設が制御不能になった場合、いかに悲惨な結果をもたらすかを示し、「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。」(創世記1章22節)との神が祝福された世界を破壊し、子ども達の未来を閉ざす結果をもたらすことを示している。核と命は共存することができない。原子力発電所の建設と運転は、神の領域に踏み込むことになり、人間が神の領域に踏み込んでしまった時、人類滅亡の危機の中に生きなければならないことを聖書は教えている。世界に400を越える原子力発電所があり、日本に起こった事故は世界の問題であり、それ故に、世界の教会に訴える責任が日本基督教団にあると受け止め世界教会会議を開催した。経済優先社会において原子力発電所が設置されたことを、人類の罪と受けとめる声明文を会議の議を経て作成した。

大会宣言

発表された大会宣言は、主に七つの罪を挙げている。その要旨は次の通り。

大地震とそれに起因する大津波によって起きた、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染は今も続いている。わたしたちも経済、環境の領域において、罪深い体制の中に組み込まれ、将来の命をも脅かしている。神は悔い改めを呼びかけている。

第一=放漫(原子力を安全に管理、制御できるという自己過信)。第二=貪欲(原子力を用いての繁栄、豊かさへの欲望、より大きな力への渇望を制御できなかった)。第三=偶像崇拝(経済的利益やとみを至上の価値としてあがめ仕えた)。第四=隠蔽(国、電力会社、地方自治体の隠蔽体質)。第五=怠惰(繁栄や権力から遠い人々の痛みと犠牲の上に成り立つシステムを見抜かず受け入れ、過去の歴史に学ぶこともしない)。第六=無責任(原発の再稼働、それを輸出は将来の世代と国民に無責任)。第七=責任転嫁(事故は人災)。

 また「祈り」と「決意と呼びかけ」では被害を受けた人々への支援、援助に努め、原子力産業に携わる企業、政府、研究機関に核廃棄物の処理方法を示すよう強く促す。核のない世界実現のために、グローバルなキリスト者のネットワーク構築をすすめ、再生可能エネルギーの利用を推し進める。若い世代がこの問題を担い、リーダーシップを発揮できるよう教育と訓練に努め、教会が変革の担い手になるよう努める。

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国際会議を終えて  日本基督教団 国際会議事務局次長 飯島 信
               
 内容面では、2つの礼拝(開・閉会礼拝)、3つの講演(記念講演・基調講演・神学講演)、10の報告(東北学院大学・会津放射能情報センター・アジア学院・ドイツ2・台湾・韓国・スイス・アメリカ・カナダ)、さらにはメディテーション・パネルディスカッション・分団協議と、多岐にわたったそのいずれもが、時間をかけて良く準備された素晴らしい内容でした。

 運営面では、これほど時間通りに進行した会議は私自身ほとんど経験がありませんでした。発表者の方々が時間をしっかり守り、会議の運営に協力して下さったからだと思います。

 通訳では、同時通訳要員が英語(11名)・中国語(3名)・韓国語(10名)と与えられ、恵まれた会議となりました。

 以上のように、日本キリスト教団が震災3周年を覚えて初めて行った国際会議は、東北学院大学と東北教区の全面的な協力を得て豊かな実を結ぶことが出来ました。
                   
                   

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