聖書題材のバレエ『メサイア』 イースター前に上演 2014年5月10日

 4月18日、東京・めぐろパーシモンホール大ホールで、ABC(オーストリア・バレエ・カンパニー)―Tokyoバレエ団がイースターバレエフェスティバル2014を行った。バレエ作品の古典である『海賊』、『白鳥の湖』からそれぞれ抜粋と2011年初演のオリジナル作品『メサイア』を上演した。

 『メサイア』では、創世記の物語を序章に、イエスの福音の生涯を中心として聖書の場面が次々と登場。めまぐるしく変わる美しいフォーメーションとダンサーの細やかな表情の演技が作品のメッセージを強く訴えた。公演パンフレットには、イラスト入りでそれぞれのシーンが解説されており、聖書やキリスト教になじみのない観客にもわかりやすい。

 また「罪」を一貫して赤という色で表現、照明や舞台装置、衣裳を通じて効果的に描かれた。中でも、人間を演じるダンサーの首には一様に赤い布が巻きつけられており、天の国でイエスに出会う人々からその「罪」がはずれていくクライマックスは印象的。真っ赤な衣裳を身にまとい、イエスと対峙するルシファー(悪魔)をメインダンサーの高木亜理紗さんが全身でドラマティックに熱演した=写真右(イエス役は芸術監督のクリスティアン・マルティーヌさん)。高木さんは同バレエ団芸術監督の三谷梨央さんと共に『メサイア』の振付も担当。

 同日は受難日。三谷さんはリハーサルで「これまでの準備期間がレントにあたったので、今日が近付くにつれて打ち砕かれるような重さを何度も経験した。怪我や病気といったトラブルもあり、レントの苦しみを感じたので(作品の)最後のよみがえりがまさに救いの瞬間になりそう」と特別な思いを明かした。また作品内で音楽に合わせて効果音が使われていることについて、「一般的なクラシックバレエの作品とは違う実験的な表現で動きを強調している」ことや、女性ダンサーが多いことから受難の場面で当時のユダヤ人男性の怒りを力強く表すために杖を使って音を出すといった工夫が加えられていることを語った。

 今後の公演予定は公式ホームページ(http://www.abc-tokyo.com/index.html)へ。

 

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