日本聖書協会 新翻訳作業40%終える 「次世代に向けた聖書」2018年完成目ざす 2014年6月21日

 日本聖書協会総主事の渡部信氏は、新翻訳聖書は次世代にと、5月15日に東京で開いた聖書事業懇談会で語った。日本聖書協会による新翻訳聖書は2018年に完成を目指している。『新共同訳聖書』の刊行から31年を経ての新訳だ。

 それまでの聖書は『口語訳聖書』が1955年、『文語訳(大正改訳)聖書』が1917年、初めての聖書『文語訳(明冶訳)聖書』が1887年。ほぼ30年ごとに新翻訳が出されているが、それは計画的にされてきたのではないが、偶然ではない。言葉と共にある時代に即し、聖書の研究の成果を反映するための新翻訳に必要な時間ともいえよう。

〝教会が用いる、教会のための″

 2009年の年末に、日本聖書協会理事会は新しい聖書翻訳事業の開始を決定し、2010年から本格的に新翻訳事業が始まった。  

 同聖書協会は『新共同訳聖書』が出版されて20年を経る辺りから新しい聖書事業の可能性を探り始めた。中でも2006年と7年に開催した聖書フォーラム、また2008年に開催した聖書翻訳ワークショップにも講師として来日したローレンス・デ・フリス氏(アムステルダム自由大学翻訳学教授・聖書協会翻訳)は、動的価値(意訳のような考え方)と直訳に近い翻訳はどちらが良いかという対立関係ではなく、誰のために、何のためにの違いによって生じるものだと整理。さらに原点の意味を解く聖書学者と、それを良い日本語にする翻訳者の役割りについての講演は大変貴重なものとなった。

 今回の翻訳事業の特徴の一つともなる、原語担当者と日本語担当者が最初から二人三脚で行うのはこの方式で成功を収めたオランダ語聖書にならった。翻訳者グループは、原語担当と日本語担当2名で1チーム。計82チームで翻訳者としての作業を進めている。同聖書協会によると、現在、新翻訳事業のおよそ40㌫は終えた。

 同聖書協会は新翻訳聖書の完成は4年後の2018年としている。新翻訳事業が軌道に乗っている証左であろうか、新翻訳聖書の具体的な事柄について語られる機会が増している。

 5月15日には東京で、5月22日には大阪で、キリスト教の団体、教団・教派、学校、出版社、教会学校の奉仕者らを対象とした聖書事業懇談会を開催し、延べ124人が参加した。

 東京(千代田区・TKP 大手町カンファレンスセンターホール)では石川立氏(新翻訳事業翻訳者兼編集委員、同志社大学神学部教授)が「聖書を耕すー聖書との新たな出会いのためにー」、大阪(北区・毎日インテシオ)では樋口進氏(新翻訳事業翻訳者兼編集委員、関西学院大学神学研究科非常勤講師)が「新しい聖書翻訳の課題と展望」とそれぞれ題して講演した。

 石川氏は、新しく翻訳する意味について「翻訳とは耕すこと。優れた翻訳があるとしても、時間が経ったら固くなってしまう。」。新翻訳の目標は「カトリックとプロテスタント教会の礼拝、礼典で用いられる聖書」と語り、教会のための聖書を強調した。

 意見交換会で渡部信氏(日本聖書協会総主事)は、「新翻訳は次世代のためのもの。世代に合った聖書があって良い。新翻訳を手にする世代はそこからがスタート」と語った。

 

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