42年の「声の歴史」は貴重な財産 盲伝による音の雑誌『おとずれ』 2014年6月21日

 日本盲人キリスト教伝道協議会(盲伝、田中文宏議長)が1971年から発行してきた音の雑誌『おとずれ』が、昨年8月の254号をもって42年の歴史に幕を閉じた。11月に正式に終了が決定し、今年5月27日、常任理事会の開催に合わせて戸山サンライズ(東京都新宿区)で感謝会が開かれた。関係者ら約30人が思い出を振り返った=写真

 盲伝は51年創立。当初の録音伝道は、盲伝に関係する牧師の説教や会員の証しなどの原稿を、オープンリールテープに録音し、『信仰』という名のテープ雑誌として、各地の盲人信徒会や盲人施設、ハンセン病療養所に送っていた。

 より本格的なテープによる伝道雑誌を作りたいとの願いから、キリスト教視聴覚センター(AVACO)の支援と協力を得て、テープ雑誌『おとずれ』を71年4月に創刊。この時から視覚障がい者個人への貸し出しが可能となった。

 毎号1時間、年6回の発行を42年間続けてきた。その間に媒体もカセットテープからCD=写真下=へと変化したが、インターネットの普及で説教や賛美歌がいつでも聴けるようになったこと、制作スタッフの不足などの理由により、2013年8月の254号を最後に終了した。

    

 『おとずれ』の最初のスタッフは、本間一夫(日本点字図書館館長)、三島徹(日基教団蒔田教会会員)、石川孝司(日基教団宿河原教会牧師)、太田太(AVACO録音制作部長)の各氏(肩書きは当時のもの)。第1号の説教は、当時の日本キリスト教協議会(NCC)総幹事・中嶋正昭牧師であった。

 説教を含む各コーナーには、NCC加盟教派の牧師を中心に、福音派の教会や単立教会の牧師、カトリックの司祭も登場。「現代のキリスト教異端シリーズ」「盲人先達者シリーズ」「海外ホット情報」「訪問インタビュー」などさまざまな特集が組まれ、学者や音楽家、福祉関係者なども登場した。

 初期の連載では、「こんにちは伊藤義清と申します」と題して「キリスト教ジャーナリスト」として活躍した日基教団の伊藤義清牧師が出演。また、大塚野百合氏(恵泉女学園大学名誉教授)が、「キリスト教と文学」シリーズに30回、続く「キリスト教と人生」シリーズに30回と、計60回登場し、『おとずれ』の顔として親しまれた。

 最後の10年ほどは、AVACO退職後に「視聴覚まるごと研究所」を立ち上げた町田勝彦氏と、AVACO職員の加藤久絵氏が中心となって制作してきた。最終的な「読者」数は200人弱であった。

     ◇

 感謝会の礼拝では田中氏が「主は羊飼い」と題して説教し、「盲伝は『羊の群れ』」と述べた。羊が強度の近視であることから、「羊にとって一番大切なことは、羊飼いという、よい手引きをしてくださる方がいらっしゃるということ」とし、視覚障がい者にも共通することだと述べた。

 「盲伝にはイエス様という本当にすばらしい手引きが与えられている。イエス様はわたしたちにとって魂の牧者、導き手」と語り、『おとずれ』がそのための大切な役割を担ってきたと強調。「『おとずれ』を通してたくさんのすばらしい魂の導きをいただいてきた。その手引きをいただいて、わたしたちは安心して安全に信仰の道をたどってくることができたのではないか」と振り返った。

 感謝会に参加した大塚氏は、「『おとずれ』がどうしても必要なものであれば、必ず神さまは、何かの形でこれを復活させてくださる」と述べ、信仰を持って祈り続けることの大切さを強調した。

 欠席者からも、「信仰生活で貴重な情報源でした」「肉声はすぐそばに人がいるようで、時には1人でいるのではないことを確認させてくださいました」といったメッセージが寄せられた。

     ◇

 84年から08年まで24年間盲伝の主事を務め、144本の『おとずれ』制作に携わってきた阿佐光也氏(盲伝書記、日基教団新泉教会牧師)は、「42年間の『声の歴史』の内容は実に豊富で多岐にわたり、貴重な日本のキリスト教界の財産ではないかと思う」と話す。今後は盲伝とAVACOに保管されているマスターテープを調査し、デジタル化していくことを計画している。「貴重な歴史の証言として必要なこと。アーカイブとしていつでも誰にでも聴いていただけるようになるとよい」。

     ◇

 盲伝が発行している点字月刊誌『信仰』は、来年創刊100周年を迎える。1915年に創刊され、04年に1000号に達した。戦前に盲人信徒のグループによって作られ、戦後盲伝が引き継いだ。「盲人のキリスト者の歴史そのものが刻まれている」と阿佐氏は話している。

宣教・教会・神学一覧ページへ

宣教・教会・神学の最新記事一覧

TO TOP