憲法前文から〝いのち〟考える 教会と国家学会で木村利人氏講演 2014年6月28日

 「憲法といのちを考える――前文を手がかりとして」と題して、早稲田大学名誉教授の木村利人氏=写真=が6月6日、衆議院第一議員会館で講演した。教会と国家学会(髙橋力会長)が主催した。バイオエシックス(生命倫理)を専門とする同氏だが、元来は法律を専門としていたことから、憲法前文を手がかりとして、いのちの問題を考察した。

 同氏は、憲法前文の「恵沢」(blessings)、「厳粛」(sacred)などの言葉に着目し、キリスト教的な発想であることを指摘。また、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」とあることから、憲法を変えるのではなく、「憲法に合わせて世の中を変えていく方が大事」と主張した。

 「今の内閣総理大臣の行為は、基本的には戦前の大日本帝国憲法に戻ろうという方向が極めて濃厚であることを感じざるを得ない」とした上で、2004年に同氏が憲法調査会に招かれ、「科学技術の進歩と憲法」と題して話したことに言及。同氏の見解を踏まえて衆議院が「『科学技術の進歩と憲法』に関する基礎的資料」を作成したことを紹介した。「(憲法)前文の中からいろいろな知識と知恵と、歴史と未来の展望を学ぶことができる。これだけ読んでも日本国憲法の存在意義がはっきり分かる」と強調した。

 1959年にYMCAのワークキャンプでフィリピンを訪れた同氏。日本国民の1人として、戦時中の罪の赦しを神に願い、フィリピンの人たちと祈り合ったという。そこで耳にしたスペイン民謡に歌詞を付け、「幸せなら手をたたこう」という歌ができたことを解説した。

 その上で、「苦しみと悲しみを超えて、態度に示してフィリピンの人たちが親切にしてくれたのは、今のわたしを生かしてくれているルーツ」と述べ、「『専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去』することが大事」と語った。

 さらに、バイオエシックスでは「自己決定権」が重視されるとし、「憲法前文で述べられている〝個人の自律の尊重〟ということが、バイオエシックスの基本の原則になる」と話した。

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