〝戦争をゆるさない〟 集団的自衛権の行使容認に反対 各教派キリスト者が現状を憂慮 2014年7月5日

日基教団有志が「東京キリスト者の会」

 安倍政権は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更について、閣議決定を目指し調整を進めている。昨年12月には特定秘密保護法が成立した。日本が戦争への道を進もうとしていることに、各教派のキリスト者たちが危機感を持ち、反対の声をあげている。

 「日本の現在を見つめる時、私たちはこの国が新たな戦争への準備を着々と進めていることを強く危惧しています」として、現状を憂慮した日基教団の有志が中心となり、「戦争をゆるさない東京キリスト者の会」を6月17日に立ち上げた。信濃町教会(東京都新宿区)で行われた設立総会には、約90人が参加した。

 同会の説明によると、日基教団では東京において戦争に反対する取り組みがないことから、「自分たちで新しい動きを作っていきたい」と、昨年春から会の設立準備を進めてきた。関東を中心に、個々に社会活動を行っている人たちが「出会う場」になることを目指すという。同教団に限らず、さまざまな教派とつながり、市民運動や抗議行動への参加、声明の発表なども行っていく予定。

 具体的には、①現行の日本国憲法を守り、これを活かしていくこと、②核(原子力)から離れ、いのちの保全に努めること、③米軍、自衛隊基地問題の解決へ向けて取り組むこと、④あらゆる戦争と排外主義に反対し、平和を求めて努力すること――という四つの目的を掲げている。

 設立準備に携わってきた次の8人が、今回の総会で世話人として選出された。
 書記=池田季美枝(日基教団冨貴島教会牧師)、会計=与那城初穂(同流山教会牧師)、広報=井口真(同四谷新生教会信徒)、大久保正禎(同王子教会牧師)、古賀博(同早稲田教会牧師)、委員=久保田文貞(同北松戸伝道所信徒伝道者)、長尾有起(同早稲田教会伝道師)、八木かおり(同幕張教会牧師)

 当日は、糸数慶子氏(参議院議員、沖縄社会大衆党委員長)=写真下=による記念講演も行われた。「沖縄――平和への道」と題して糸数氏は、沖縄戦の悲惨さから話し始め、日本の国土面積の0・6%にあたる沖縄に、米軍専用施設の74%が集中している現状を指摘。軍隊は抑止力にはならないとし、「集団的自衛権が解釈改憲で行使されたならば、沖縄がターゲットにされるのは目に見えている」と述べた。

 

 参加者の1人は、「なぜ安倍政権が野放しにされたままでいるのか」と発言し、「国内外の政治家、宗教者、市民たちが連携して意見広告を主要紙に出すなど、一致団結して異を唱えることが必要だと思う」と主張。

 糸数氏は、「今日話したことについて、皆さんを取り巻く周囲の方にお話をしていただけたらと思う。大きなムーブメントを起こして人の気持ちを変えていくことは難しい」とした上で、「すばらしい憲法を有している国だから普通の国になってはいけない。普通の国は簡単に戦争をする国。アメリカのような国になってはいけない」と語った。

 また、「聖書に裏打ちされた言葉を持って戦っていくことがどれだけ大事であるか」と述べ、「片方に聖書、片方には平和憲法、という思いで頑張っていくことが問われているのではないか」と強調。「安倍政権の暴走は止められると信じているので、一緒になって止めていきましょう」と呼びかけた。

 同会では定期的に例会を開催する。7月22日には、日基教団早稲田教会ロビーにて午後6時半から、「集団的自衛権について」をテーマに八木氏が発題する。今後の会の持ち方や方針、取り扱うテーマ、他団体との連携などについても意見を交換するという。問い合わせは、事務局の冨貴島教会・池田季美枝氏(℡047・334・2835、Eメール=yurukiritokyo@yahoo.co.jp)まで。

 

解釈・明文改憲への動きに反対

 「特定秘密保護法に反対する牧師の会」(朝岡勝、安海和宣共同代表)は6月16日、野党各党の党首・副党首などの国会議員を訪ね、特定秘密保護法の撤廃と、解釈・明文改憲への動きを止めるよう要請書を届けた。安海氏とともに、呼びかけ人の柴田智悦(日本同盟基督教団横浜上野町教会牧師)、城倉啓(日本バプテスト連盟泉バプテスト教会牧師)、星出卓也(日本長老教会西武柳沢キリスト教会牧師)の3氏が議員会館に同行。吉田忠智(社民党党首)、寺田典城(結いの党副代表)の両氏と直接面会した。

 要請書では、同法が「憲法が保障する基本的人権を踏みにじり、信教の自由、表現の自由、思想信条・良心の自由、結社の自由を著しく侵害する恐れを含む、明らかな憲法違反」であるとし、国民の自由を制限し、秘密国家を出現させ、戦争をする国へと人々を駆り立て、特定の思想・信仰を持つ人々を排除する道を開くものだと主張。同法の「施行停止」「廃止」を求めている。

 また、日本が戦争へ進む道を開く集団的自衛権行使容認、解釈・明文改憲への動きに反対するよう要請。「憲法9条に示された平和の理想を生かすべく国の内外に働きかけることこそが私たちの責任」としている。

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 日本同盟基督教団「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は6月16日、「憲法解釈変更による集団的自衛権行使否認を求める声明」を内閣総理大臣宛に送付した。

 声明は、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとするこれまでの政府解釈を継承すべきとし、「自国が攻撃されていないのに他国を武力攻撃する集団的自衛権自体が許されないのであれば、それが限定的に行使できるなどという範囲を定めることは無用な議論」と主張。

 また、「集団的自衛権行使により武力による交戦、つまり戦争」が起これば、「国のために亡くなった戦死者をどのように顕彰するかという問題」が生じるとし、「各地の護国神社、または靖国神社への合祀ということが予想され、それを望まない人々の、思想及び良心の自由と信教の自由が犯され、国も宗教活動を行うことになり、こうして憲法第19条、及び第20条に反する行為がなされることになります」と指摘。「再び戦争の惨禍を起こすことになるような憲法解釈」は、憲法の条規に反し、効力を有しないとし、「憲法をないがしろにするような政府は、主権者である国民としてとても受け入れるわけにはいきません」と強調した。

     ◇

 日本キリスト教協議会(NCC、小橋孝一議長)は6月24日、「憲法第九条についての日本キリスト教協議会議長声明」を発表した。

 安倍首相が9条の解釈を閣議決定だけで変更し、集団的自衛権の行使を容認させようとしていることに対し、「立憲主義を否定し、日本国憲法の三原則である平和主義を根本から覆す暴挙」と非難。

 「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」「致命的な誤解(罪)の道を二度と歩んではならない」「『必要最小限度』『限定的』は通用しない」「憲法第九条(剣をさやに納める誓い)を世界に広めよう」という4項目を掲げ、9条は「剣をさやに納める」誓いであるとし、これを守り続けることが、「世界を『剣で滅びる』ことから救い出す最も現実的な道」と主張。今が、その誓いを世界に広める好機だとしている。

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