パウロ研究の新しい視点に着目 日本福音主義神学会東部部会が研究会 2014年7月5日

 「『パウロ研究の新しい視点』から『福音』を問い直す」と題する研究会が6月16日、お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で行われた。日本福音主義神学会東部部会(大坂太郎理事長)が主催し、約120人が出席。新約聖書学を専門とする伊藤明生(東京基督教大学教授)、岩上敬人(イムマヌエル聖宣神学院教授)=写真=の両氏が講演した。

 「『パウロ研究』を巡る新しい視点――サンダースとダンを中心に」と題して講演した伊藤氏は、「『パウロ研究』に関する新しい視点とは、特定の神学的立場のことではなく、E・P・サンダース以降の、1世紀のユダヤ教の新しい理解に基づく『パウロ研究』のこと」と解説した。

 サンダースのユダヤ教理解とは「契約規範主義」のことで、「(1)神がイスラエルを選び、(2)律法を与えた。律法には、(3)神が選びを保持する約束と(4)遵守の要求が示唆されている。(5)神は、従順は報い、違反は処罰する。(6)律法は、贖いの手段を提供し、贖いの結果(7)契約関係の保持または更新が保障される。(8)従順と贖いと神の憐れみによって保持されるすべての者は救われる集団に属する」と説明。

 「1世紀のユダヤ教が契約規範主義であると理解することが正しいとするならば、1世紀のユダヤ教とパウロの福音との連続性がより明確になるべき」とし、新約テキストを歴史的に理解しようとするならば、当時の時代背景となるユダヤ教の文献にも目を通すことが必要だと指摘した。

 岩上氏は、「ローマ人への手紙3・20~22の解釈とパウロ研究に関する新しい視点」と題して、「神の義」「『イエス・キリストに対する信仰』(目的格属格)と『イエス・キリストの真実』(主格属格)」「律法の行い」の解釈を概観。

 「神の前に1人の個人が罪の赦しの宣言を受けるという義認論から、より包括的な契約関係の回復、神の民へのメンバーシップという義認をパウロが言っているのなら、救済論と教会論が融合された神学が形成される」として、そのような神学的枠組みを組み直す作業を進めていく必要性に言及した。

 

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