日中の衝突解消するために 南京大・劉成教授が明治学院大で講演 2014年7月12日

 明治学院大学キリスト教研究所(渡辺祐子所長)「キリスト教と平和学・赦しと和解研究プロジェクト」は、劉成(リュウ・セイ)氏(南京大学歴史学部教授)を講師に招き、「中国における平和学の現状」と題して6月20日、同大学白金校舎(東京都港区)で公開研究会を開催した。司会を池尾靖志氏(同研究所客員研究員)、通訳を張思凡(チョウ・シファン)氏(南京大学大学院生)が務めた。

 元来は英国史を研究していたという劉氏は、同国に留学したことをきっかけに平和学に関心を広げ、2004年に南京大学で中国初の平和科目を開講した。今年同大学に平和研究所を設立する計画だという。また、中国に平和学会を創設することを目指している。

 同氏は「日中両国の衝突を解消するために」をテーマに据え、安倍首相の靖国神社参拝や尖閣諸島の問題などを挙げて、「日中両国の間で戦争が起こってしまうのではないかと、東アジアに不穏な空気が漂っている」と前置きした。

 「領土問題や歴史認識問題をめぐり、日中両国の間に紛争を生じさせた原因はたくさんある」とし、「両国は靖国神社参拝などの歴史問題についていつも争っていると同時に、東アジアないし世界における自国の地位を維持するための争いも深刻になっている」と指摘。「両国の国内の問題や国際情勢も、両国の関係を左右している」と述べた。

 両国の衝突を解消するためには、「争っている問題の解決ではなく、問題点の転換」が必要だとし、「目の前の表面的な衝突の表面的解決を目指すのではなく、衝突をもたらす制度や構造とは何か、どう変えるべきかを探るべきだと思う」と主張。「日中両国の間に、衝突を解消するための非暴力的な手段を探り、個人・団体・政府間の交流を深め、友好的な空気を作るべきだと思う」と語った。

 「日中両国は歴史を鑑として未来に目を向けて、各分野での協力と対話を進めていけば、日中関係は最悪の事態を乗り越えられる」

 同氏は無宗教でありながら、南京大学の平和学の講義で「平和と宗教」の問題も扱うという。「世界の平和の鍵は宗教が握っている」と主張した。

写真:劉氏(左)と通訳の張氏

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