宗教は平和にどう貢献できるか 上智大学で連続講演会 2014年7月26日

 平和の実現のために諸宗教にどのような貢献ができるのかを考えようと、「平和を築く――宗教は何を託されているのか」と題する連続講演会が6月28・29日、上智大学(東京都千代田区)で開催された。同大学キリスト教文化研究所(竹内修一所長)が主催した。

 近現代ビルマ史を専門とする根本敬氏(上智大学総合グローバル学部教授)は、「アウンサンスーチーの非暴力主義」と題して講演。

 アウンサンスーチーの思想の原則として、①一人ひとりが心の中に抱く恐怖に打ち勝つ努力を行うこと、②自分自身が置かれている状況を自覚し、自分と他者との関係を客観的に見つめ直し、相互理解と和解を目指す努力を日常的に実践すること、③目的と手段の倫理的基準を一致させること――という3点を挙げ、これらがガンディーの思想と深く関係していると指摘しつつ、非暴力主義の理解においては彼女の方が戦術的であると述べた。

 目的と手段の「正しさ」を判断するために、アウンサンスーチーは「真理の追究」という実践を強調したとし、それは「主観性を克服する戦い」だと説明。彼女はビルマ文化の核心が上座仏教にあることを強調しているが、彼女にとって「真理」は特定の宗教とは関係なく、日々の生活のあらゆる場面で追究されるものであり、その実践を通じて、正しい目的と行動を選択できるようになると考えているのだと解説した。

 「近代日本史における宗教と権威のあり方――戦いや力の所有をこえて」と題して講演した黒住真氏(東京大学教授)は、「現代人は『権威観』がなく、逆に自分自身が権威であるかのような自己意識が発達しているのだと考えさせられ始めた」として、日本史における「権威」の問題を考察。

 「わたしたちは仏教やキリスト教などはっきり分けているが、グローバル化していったときに、必ずしも分類ではっきり決まらないような形が出てくるのではないか」と述べ、従来型の宗派だけでない、多元的な構造が生まれ出しているのではないかと語った。

 他に、若松英輔(シナジーカンパニージャパン代表取締役)、T‐J・ロボアム(上智大学准教授)、末木文美士(国際日本文化研究センター教授)の各氏がそれぞれ、「美と平和の形而上学――柳宗悦の悲願」、「善の心を導く不害」、「宗教間対話を可能にする理論を求めて」と題して講演した。

 

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