モスルからキリスト者集団脱出 教皇「暴力には平和で打ち勝つべき」 2014年8月2日

 イラク北部モスルから7月19日までにキリスト者が集団脱出した。英BBC放送などが伝えた。
 シリアとイラクの大部分をイスラム過激派組織が支配し、「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)と自称している。ISISは、改宗しないキリスト者に、預言者ムハンマドの時代にユダヤ教、キリスト教の信徒に課したのと同様の「人頭税」(保護税)を求め、「剣」の力で執行すると宣言していた。

 モスルでは、キリスト者に対してイスラム教への改宗か人頭税の支払いを強制する布告が出された。期限とされた19日正午までに、キリスト者が脱出した。
 2003年にはキリスト者6万人が居住していたモスルだが、今年6月までには3万5000人に減少、ISIS支配下でさらに脱出者が急増していた。

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 ISISがイラク北部ニーナワー県で、聖書に登場する予言者ヨナの墓を破壊した、と語った。英紙『メール』(電子版)が報じた。

 ISISはこのところ教会、墓、神殿などの破壊を進めており、イスラム教の聖地メッカまで遠征して、毎年巡礼数百万人が参拝に訪れるカーバ神殿を破壊する計画もあると言う。

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 教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)で7月20日行われた日曜正午の祈りの席で、中東やウクライナなどの緊迫した情勢に言及した。

 イラク北部モスルで、イスラム教スンニ派の過激派組織による脅迫を受け、キリスト者が現地を集団で脱出していることに対し、教皇は深い憂慮を表明した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。

 教皇は、イラクをはじめ中東各地で古くから存在するキリスト教共同体が、他の住民との共存のもとに社会の善に貢献してきたその歴史にも関わらず、今日、迫害によって住み慣れた土地を何も持たずに追われていく状況に遺憾の意を表明した。

 サンピエトロ広場の巡礼者はもとよりすべての信者に向け、教皇は緊張と闘争の続く世界の地域、特に中東とウクライナのために祈りを呼びかけ、平和の神が皆の心に対話と和解への真の望みを呼び起こしてくれるようにとの願いを表明した。

 教皇は「暴力には、暴力をもっては勝てない。暴力には平和で打ち勝つべき」と強調した。(CJC)

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