戦争準備行為を行う安倍政権に〝ノー〟日本キリスト教連合会 池住義憲氏が「積極的平和主義」を考察 2014年8月9日

 安倍晋三首相の「積極的平和主義」とは何を意味するか。「積極的平和主義の『積極的』とは何か――キリスト者として」と題して、平和学や開発教育の研究を行っている池住義憲氏(立教大学大学院教授=写真)が7月10日、日基教団富士見町教会(東京都千代田区)で講演した。日本キリスト教連合会(岡田武夫委員長)が主催した。

 池住氏はまず、平和学者ヨハン・ガルトゥングの用語を解説。「消極的平和」とは、戦争のない状態で、直接的暴力としての戦争やテロのない状態を指し、「積極的平和」とは、貧困、差別、抑圧のない状態を指すことを説明した。

 これに対して安倍首相の言う「積極的平和主義」とは、「自国のみならず、地域および国際社会の平和の実現のために、能動的・積極的に行動を起こすこと」に価値を求める考え方であり、具体的には、専守防衛や軍縮などのような平和国家としての原則を維持しつつ、PKOなど国連の安全保障措置に積極的に参加することだと解説した。

 7月1日に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたことに触れ、集団的自衛権の行使の対象となる「密接な関係にある他国」について、「明らかに米国のことを意味している」としつつ、北朝鮮のミサイルの射程外にあるオーストラリアが加わる可能性を指摘。さらに、中国の海洋進出を阻止するためにはインドネシアとフィリピンの海軍が必要との理由から、両国も今後「密接な関係にある他国」に含まれる可能性があると述べた。

 また、安倍政権は閣議決定を踏まえて、自衛隊法や武力攻撃事態法など10を超える改正法案を来年4月の統一地方選後に一括提出、一括審議するのではないか、と予想した。

 その上で同氏は、①平和的生存権の侵害、②立憲主義の否定、③不戦・非戦の誓いが崩される、④アジア・太平洋地域の人々への裏切り、⑤憲法99条違反の行政権行使、民意に反する行政権行使、⑥「万全の備えをすることが抑止力だ」というウソ、⑦詭弁を弄したごまかし、⑧非現実的事例を持ち込むことによる「テニヲハ論」への導入、⑨実質審議より選挙日程重視で決める〝審議〟日程――という9項目の「怒り」を表明した。

 中でも⑥の、安倍首相の「万全の備えをすることが抑止力だ」という考え方に対して、2008年の段階で非武装国家が29カ国あり、いずれも非武装国家になってから一度も軍事攻撃されていないことを指摘。「軍事力を持つことが本当に抑止力なのだろうか」と疑問を呈した。

 さらに、ガンディーやM・L・キング牧師の非暴力不服従運動を例に、「明らかに憲法違反の法律に関しては、服従する必要はない」とし、「服従しない権利」を行使することを提唱。その法的根拠として憲法12条と98条を示した。

 同氏は04年から「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」の代表を務めた。その経験を振り返り、08年に名古屋高裁でイラクでの自衛隊の活動を違憲とする判決が下され、平和的生存権が具体的な権利として認められたことに言及。戦争が起こっていなくても、戦争の準備行為が行われ、不安や恐怖、精神的苦痛を得たならば、戦争準備行為の差し止めと、損害賠償を請求することができると述べた。

 「わたしたちが定めた最高法規に反する行為、戦争準備行為をやっている安倍政権に対して、はっきりと〝ノー〟と言っていく運動がこれからも必要」と訴えた。

 「(他国から)攻めて来られたらどうするのか」という問いに対しては、「軍事力を持っている国と、持たないと宣言して一切武力の行使をしない国と、どちらが戦争に巻き込まれる可能性があるか」と問いかけ、「わたしは今の平和憲法を持っている日本の方が、9条を無くして軍事化に進む日本よりも、明らかに攻撃される可能性が少ないと思う」と主張した。

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