「原発ゼロ」以外に生きる道なし 森野善右衛門氏が新「自然の神学」強調 2014年9月6日

 「原子力と人間を考える――自然と人間の共生」をテーマに、森野善右衛門氏(日基教団関東教区巡回牧師=写真)が8月5日、日基教団梅ヶ丘教会(東京都世田谷区)で講演した。同教団東京教区西南支区社会担当協力委員会(小河由美子委員長)主催の第27回「平和と核廃絶を祈るつどい」での講演。66人が出席した。

 自著『原子力と人間――3・11後を教会はどう生きるか』(キリスト新聞社、2012年)に基づいて講演を行った森野氏。安倍内閣が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った7月1日が、「日本の戦後史における大いなる転換の日になるのではないか」と述べ、「わたしたちが今求めるべきものは『安全保障』ではなく、『戦争をしない』ということ。それが『平和』」だと強調した。そしてイザヤ書2章4節を引用し、「まさに戦争の放棄。イザヤの平和預言は今日非常に大きな意味を持っている」と語った。

 神学校時代にディートリッヒ・ボンヘッファーの神学を学んだという同氏は、平和は安全保障の反対であり、相手に対する不信感が戦争を引き起こす、という趣旨のボンヘッファーの言葉を引用。「『平和』は自然にできるものではない。思い切って作り出していかなければならない。信頼感が作られなければ『平和』はできない」と強調した。

 同氏は大学で原子物理学を学び、「自然科学と自然の神学との対話」を生涯の課題としている。「原子力発電の一番大きな問題は事故ではない。放射性廃棄物の問題だ」と述べ、放射性廃棄物は処理する方法も処分する場所もないことから、「廃〝棄〟物」ではなく「廃物=毒物」であり、後世に「負の遺産」を押し付けることになると主張。自然との共存を目指す新しい「自然の神学」の必要性を訴えた。

 人間も自然も神によって創造されたのであり、「自然の神学」は「創造の神学」だと述べ、「神によって創造されたものがどのようにして一緒に生きていくことができるのかを考えるのが、新しい『自然の神学』」だと強調。「原発ゼロ社会を目指すこと以外に、わたしたちの生きる道はない」と訴えた。

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