〝河野談話を発展させたい〟 8・15東京集会で渡辺美奈氏 2014年9月6日

「日本軍『慰安婦』制度が問うていること」と題して、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)事務局長の渡辺美奈氏が8月15日、「第41回 許すな!靖国国営化 8・15東京集会」で講演した。会場の在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)に約130人が集った。

 「慰安婦」問題の解決に向けた取り組みを行っている渡辺氏は「河野談話」について解説し、その中の「慰安婦の募集については……官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」という文言が、安倍政権が事実として認めたくない部分であると指摘。第一次安倍政権が2007年に「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」という内容の答弁書を閣議決定していることを示した上で、今年6月に発表された河野談話の検証結果の問題点を指摘した。

 「『業者が強制的に連行したのであって、日本政府には責任がない』という認識を作ろうとしているのが今の安倍政権」とし、「連行して管理して、最後は置き去りにした性奴隷システムを作った全体の責任を問わずに、連行の初めのところだけを否定しようとしている」と述べた。

 同氏は、河野談話が「女性に対する暴力が、本人たちの意思に反してなされた」ということを認めている点を評価しつつ、欠けている点として、「『軍の主体性』が非常に弱い」と指摘した。

 また、「慰安婦」制度は人権侵害だと強調した上で、「当時は合法だった」と社会に理解されてしまう余地を河野談話は残しているとし、「河野談話をもう一歩発展させたい」と述べた。

 wamは戦時性暴力の被害と加害を集めた日本初の資料館。8月10日には、「朝日新聞『慰安婦』報道の検証をめぐる一連の報道に抗議し訴えます」との要請文を発表。政府に対して「慰安婦」制度についての第三次政府調査を求め、証拠文書の検証や被害者証言の収集などを行い、「『慰安婦』制度の実態について更なる真相究明を行うべき」と訴えた。

 集会は、同集会実行委員会(荒井克浩代表)が主催し、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会と東京地方バプテスト教会連合社会委員会が後援した。

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