関東大震災時の虐殺事件から91年 事件の実態を調査した西崎雅夫氏が報告 2014年10月4日

 「90年前、早稲田奉仕園スコットホールで、何があったの?!」と題して、「関東大震災時・朝鮮人、中国人虐殺・追悼弾圧90周年記念集会」が9月13日、早稲田奉仕園スコットホール(東京都新宿区)で開催された。170人が出席した。

 1923年9月、関東大震災時に多くの朝鮮人、中国人が虐殺された。その追悼の集会が、1年後の24年9月13日に同ホールで開催されたが、警察隊100人が押し寄せ、中止命令が出されて集会は解散させられた。この歴史を直視し、謝罪と反省から未来への指針を学び取る機会にしようと、90年後の同日にこの集会が企画された。

 第一部では、「東京で起きた朝鮮人虐殺事件――目撃証言を中心に」と題して、西崎雅夫氏(一般社団法人ほうせんか理事)が講演した=写真上

 日本や韓国で虐殺事件について調査を行ってきた西崎氏は、具体的な証言を紹介しながら虐殺事件の実態を解説した。事件の原因となった「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言について、「最初に流言を把握した時点で官憲(主に警察)が民衆に警戒を呼びかけたことが証言から分かる」と指摘。新聞社やバイクなどによる流言拡大も影響が大きかったと述べた。

 また虐殺事件について、手足や首を切り落とす、電柱などに縛りつける、投石で虐殺する、火あぶりにするなどの他、女性や子どもに対する蛮行も行われていたことを具体的な目撃証言をもとに紹介し、「本当にひどいことをしていたことが分かる。これが虐殺の実態。もっと周知されるべき」と訴えた。軍隊や警察による虐殺が多く行われていたことも証言から明らかにした。

 さらに、1924年に小学校で朝鮮人側の謝罪の講演会が行われていたという証言も紹介した。
 同氏の調査で判明した朝鮮人犠牲者の氏名は2012年2月現在で71~87人ほど。韓国ソウルで出会った遺族から「祖父の遺骨を探してほしい」と依頼されたことを話し、「今でも関東大震災は終わっていない」と強調した。

 最後に、「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」というプラカードが掲げられてヘイトデモが行われている現状を危惧し、「決して90年前で終わった話ではない」と繰り返した。
 西崎氏らは2009年9月に墨田区八広に追悼碑を建立し、荒川河川敷で毎年追悼式を開催している。追悼碑文には、次の言葉が刻まれている。

 「一九二三年 関東大震災の時、日本の軍隊・警察・流言蜚語を信じた民衆によって、多くの韓国・朝鮮人が殺害された。東京の下町一帯でも、植民地下の故郷を離れ日本に来ていた人々が、名も知られぬまま尊い命を奪われた。この歴史を心に刻み、犠牲者を追悼し、人権の回復と両民族の和解を願ってこの碑を建立する」

     ◆

 第二部では劇団「IMAGINE21」の横井量子氏による朗読劇「かくも重き沈黙…かくも深き罪」が上演された=写真下。

 あいさつに立った同集会実行委員会の共同代表の1人、関田寛雄氏(日基教団牧師、青山学院大学名誉教授)は、「植民地化した朝鮮に対する権力支配、暴行の歴史を忘れてはならない」と述べ、歴史認識の重要性を指摘。

 同じく共同代表の山本裕司氏(日基教団西片町教会牧師)は閉会にあたり、弾圧されることなく集会を終えることができることを幸いなことだと述べた。一方で、「現在は90年前よりも状況が悪化しているかもしれない」という講師の言葉に共感し、「弾圧された人々、殺された人々の思いをしっかりと受け止め、今何をしたらよいのかを共に考え行動しつつ、これから歩んでいきたい」と結んだ。

 共同代表には他に、真壁巌(日基教団相愛教会牧師)、須賀誠二(同東京愛隣教会牧師)、真鍋孝幸(同堀切教会牧師)の各氏が名を連ねている。

  

特集一覧ページへ

特集の最新記事一覧

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘