いのフェス2014 教会フリマで「異文化」交流 アイドルと怪獣とキリスト教? 2014年10月11日

 教会関係者によるフリーマーケットとして2011年から毎年行われている「いのり☆フェスティバル」(略称=いのフェス)が今年も9月23日、早稲田奉仕園(新宿区西早稲田)で行われた(同実行委員会主催)。これまでも評論家の岡田斗司夫さん、社会学者の宮台真司さんなど教会外のゲストを招いてきた「いのフェス」だが、「拓け!!未踏の新境地(パラダイス)」と謳う今回は、かつて「ミニストリー」誌で故・市川森一さん(脚本家)と対談した評論家の切通理作さんや、晩年同じ教会員として親交のあった演出家の真船禎さん(日基教団麻布南部坂教会員)、早稲田大学特撮サークル「怪獣同盟」の学生らを招いたトークライブなどが行われ、異様な盛り上がりを見せた。

 秋晴れの空の下、奉仕園の中庭には〝コスチューム〟を身にまとったヒーローやアイドルグループ「PIP」(ピー・アイ・ピー)のファンと思しき集団、出展ブースを見て回る信徒、首から食料品を下げて売り子をする牧師などでごった返した。

 教派の枠を超えた企業、団体、個人が出展。日基教団東北教区被災者支援センター・エマオや、開局したばかりのカトリック系ネットラジオ放送局「カトラジ!」などが活動をPRしたほか、手作り雑貨を販売するブースなどが机を並べた。

 メイン会場で行われたミニライブ「魂の饗宴」には、シンガーソングライターのヤマモトカオリさん、批評家の濱野智史さん(『前田敦子はキリストを超えた』著者)がプロデュースする「PIP」、現役牧師と神学生のロックバンド「牧師ROCKS」から、ドラマーの市原悠史さん(日本福音ルーテル甲府教会・諏訪教会主任牧師)が出演。

 賛美歌「アメイジング・グレイス」をバックに祈りの姿勢で「PIP」が入場すると、場内はファンたちの掛け声であふれた。その一体感は、先に壇上で歌声を披露したヤマモトさんをも「今までに経験したことのないリズムの正確さと高揚感」と驚かせるほど。パフォーマンスの合間には、人狼ゲームをモチーフとした「最後の晩餐~裏切り者は誰だ」(キリスト新聞社)でメンバーが遊ぶ一幕も。参加した「PIP」メンバーは、「教会の音が温かくひろがっていく感じ」「雰囲気出てた」など、思い思いの感想をブログで綴っていた。

 ライブの合間に行われた「怪獣同盟」によるヒーローショーでは、早稲田大学の学生ヒーローユニット「学装ワセダブライト」がホール内で所狭しと大活躍。見事「悪者」たちを倒すと、場内から温かい拍手が送られた。「怪獣同盟」は今年創立31周年を迎える老舗のサークルで、特撮番組のプロデューサーを務める高寺重徳さんが在学時に結成した。

追悼・市川森一さん「帰ってきたウルトラマン」
「悪魔と天使の間に…」をひも解く

 脚本家・市川森一さんの追悼企画として催されたトークライブ「ぼくらの時代のヒーローと宗教」では、切通さんと真船さん、「怪獣同盟」の学生3人が市川さんが脚本を執筆し、真船さんがメガホンを握った「帰ってきたウルトラマン」の「悪魔と天使の間に…」をめぐって、そこに込められたキリスト教的な価値観や、他の市川作品に通底するヒューマニズムへのアンチテーゼや「赦し」について語り合った。

 当時では珍しくクリスチャンであることを公言していた市川さんに対し、尊敬の念を抱いていた真船さんだったが、自身が洗礼を受けたのはその後、高齢になってから。思わぬめぐり合いで数十年ぶりに再会したのを機に、真船さんと同じ教会に通い始めた市川氏だったが、翌年がんを患い急逝する。

 真船さんは、天草四郎を題材にした遺作『幻日』から、「ウルトラマン」の時代から一貫して世に問い続けた市川さんのメッセージを読み取ったという。

 祭典は、登壇した総勢30人以上の出演者で「アメイジング・グレイス」を歌い、幕を下ろした。今まで出会うことのなかった「異文化」同士。サブカルチャーを入り口に、キリスト教へ親しみを持ってもらうという狙いを体現する「いのフェス」。200人を超える来場者、出演者にとって、教会は、牧師はどのように映っただろうか。

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