患者の気持ちに常に寄り添う 柴田実氏が「スピリチュアルケア」語る 2014年11月1日

 聖路加国際病院のチャプレンを務める柴田実氏=写真=が「スピリチュアルケア――人間の生と死の現場で魂を支える」と題して10月11日、慶應義塾大学信濃町キャンパス(東京都新宿区)で講演した。NPO法人臨床パストラル教育研究センター(ウァルデマール・キッペス理事長)の関東甲信越ブロックが主催し、約60人が参加した。

 柴田氏によると、病院チャプレンの業務は、毎朝の礼拝・聖餐式、手術前の祈り、緩和ケア病棟(PCU)や腫瘍内科病棟などのカンファレンスへの参加、院内コンサートでの祈祷・メッセージ、葬儀式、病床緊急洗礼式など多岐にわたる。

 急性期総合病院においては、緩和ケア医療がPCUの前段階から始められるのが近年の傾向であり、聖路加国際病院でも一昨年から、腫瘍内科の入院・外来患者に対して、スピリチュアルケアの導入を始めたという。

 医療臨床現場で実際に直面するスピリチュアルペインとしては、「生きる意味が分からない苦しみ」や「自律性の低下による喪失の苦しみ」が多いと柴田氏は話す。スピリチュアルケアを実践するのは、医師や看護師からチャプレンに介入の依頼がある場合や、カンファレンス時にスピリチュアルケアの導入について協議し介入の依頼がなされる場合など。チャプレン自らの判断で介入する場合もある。「わたしたちが受けてきた教育は神学教育。医学でも看護学でもない。患者の苦しみを医師に伝えようとしても、なかなか言葉が分からない」とし、医療者の実践に導入できるような言葉を選ぶことなど、情報を共有するための苦労を明かした。

 スピリチャルケアの具体的な事例を示した上で、「スピリチュアルケアの始まりは、いつも患者への『心配』と『気遣い』。これがなければ、深い心・魂のケアとはならず、継続的なケアが成り立たない」と話し、患者の問題を洞察するためには、常に患者に関心を抱いていることが必要だと強調。スピリチュアルケアは、「患者の感情、気持ちに常に寄り添う支援」「患者の深い心の世界に、自分自身が丸ごと身を投じること」であり、「患者の魂への接近が必要となる」と述べた。

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