関西学院大学神学部が125周年 記念講演で姜尚中氏「福音共有し合える場を」 2014年12月13日

 関西学院大学神学部は11月13日、神学部設立125周年の記念礼拝・講演会を関西学院中央講堂で開催し、およそ570人が参加した。記念礼拝は水野隆一氏(同大学神学部教授)の司式のもと行われ、城崎進氏(同大学名誉教授)が「地の塩」と題して説教をした。城崎氏は説教の中で、同大学神学部開設と発展のために尽力したH・W・アウターブリッジ氏について触れ、「神学部には、関西学院の建学の精神を保持・高揚し、キリスト教の福音宣教のために、その身を溶かし、味付けのできる学部であり続けてほしい」と語った。

 続いて、中道基夫氏(同大学神学部教授)の司会のもと、聖学院大学学長である姜尚中氏(東京大学名誉教授=写真)が「日本におけるキリスト教の未来」と題して講演を行い、聴講者は熱心に耳を傾けていた。姜氏は、「これからの日本は、規模が小さく、人と人との関わりがより密接になる社会になるだろう」と語り、そのような時代を「新しい中世」として、そこでは「コモンズ」と呼ばれる、人と人とが共通のものを分かち合うコミュニティーの重要性が増してくると述べた。

 さらに、「公的でもなく私的でもない機関が果たす役割が増大する社会の中で、医療や福祉や教育など様々な分野において、キリスト教が果たす役割は大きい」と述べた。未曾有の国難として広島と長崎、東日本大震災を経ての福島を挙げ、放射能の大惨事を招いたにも関わらず、何も無かったかのように原発を稼働させ、それを海外に輸入する今の日本にあっての困難を指摘した。最後に、「新しい中世の形を目指しながら、人間的な関係性が交じり合う場、イエス・キリストの福音を共有し合える場が作られていかなければならない」と語り、日本も韓国も「ナショナリズムという怪物が二度と姿を現さないようにしなければならない」と訴えた。

 同大学神学部は2015年2月に「ディアコニア」をテーマに第49回「神学部セミナー」を開催する。今後、伝道者育成のためのカリキュラムを作っていくとともに、新しいプログラムとして「ディアコニア・プログラム」を開設し、おもにキリスト教系の福祉施設での働きが可能な人材育成に取り組んでいく。

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