【メッセージ】夜明けの太陽はわたしたちに臨み、義の太陽はわたしたちの上に昇る 齋藤 篤 2014年12月25日

            

 わたしの住んでいるドイツ・ケルン市は、北緯50度の場所に位置しています。日本付近で言えば、サハリン島(樺太)の中央部地域にあたりますので、かなり北方で暮らしていることになります。 

 北緯50度という地図上の記載は、毎年クリスマスの時期になると、実際の出来事として実感し、そして経験します。この時期の厳しい寒さもさることながら、それ以上に、緯度の高さのために、日照時間が大変短くなります。

 クリスマス前後になると、日の出から日没までの時間が約8時間であり、夏の季節の半分となります。さらに、昼間であっても厚い雲が空を覆います。ドイツの冬は、この暗さが特徴であると言っても過言ではありません。

 この季節、燦々とした陽光を浴びることのできない中にあって、時には、珍しく太陽が顔をのぞかせることがあります。その際に得た感動は、決して大げさなものではありません。扉を開けて、光を肌に染み込ませるように、ひと時の日光浴を楽しみます。心の底から光を欲していた自分自身があったことに、改めて気づかされます。それは、冬の暗さの中に、普段から身を置かれているからこそ味わうことのできた、実に新鮮な体験でした。

 創造主なる神が天地を創造された時、混沌の中に光を投じられました。「光あれ」(創世記1・3)と発せられた言葉は、創造物のすべてに対して呼びかけられたものに他なりません。そしてわたしたち人間もまた、神の放つ光によって生きる者とさせられます。そして、クリスマスの季節に、わたしたちは神の放つ光を、救い主イエス・キリストに重ね合わせるのです。

 聖霊に満たされた洗礼者ヨハネの父ザカリアは、やがて生まれる主イエスについて、喜びのうちに賛美しました。「この憐れみによって、/高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、/我らの歩みを平和の道に導く」(ルカ1・78~79)

 夜明けの太陽の光は、暗さの中に投じられるからこそ、一層光のありがたさが際立ちます。わたしたちのもとに毎年訪れるクリスマスは、わたしたちの心の内にある、また生活のただ中で起きている、暗闇や混沌に対して、イエス・キリストという光が射し込むことに感謝できる、喜びに満ちた機会に違いないのです。

 一方で、クリスマスを、混沌に光が当てられたことへの感謝の機会として見るならば、わたしたちはそのことをどれだけ現実の出来事として受容しているだろうか、ということを痛感させられます。そのことを伝え分かち合う務めにあるわたし自身、クリスマスを観念的に捉えてはいないだろうか。神が放つ光に対するありがたさが、自らの内にある疎さや鈍感な思いによって薄らいでいたのではないか、と気づかされます。

 いみじくも、救い主の来臨を「義の太陽が昇る」と表現した預言者マラキが向けて語ったのは、神に対する真心がなく、形式だけの礼拝を行っていた当時のイスラエル国民に対してでした。神が放つ光に気づきも感謝もない無感覚な姿が、当時の信仰者の現実でした。その現実に、なおも神は義の太陽を昇らせ、光によって生きるように促し、明日を生きることを勧めているのです。

 わたしたちの生きる社会では、一見すると夜明けの太陽よりも、義の太陽よりも、まばゆく見える光のようなものがたくさん散りばめられています。クリスマスの時期にもなれば、夜をも思わせないほどの明るさを放つクリスマスイルミネーションが競合します。見た目には美しい装飾であることに間違いはありませんが、それらの数々は、わたしたちの世界に平和をもたらすイエス・キリストの輝きに勝るものではありません。

 イエス・キリストという光は、わたしたちの心の鈍感さにもスポットを当てて、2015年という新しい年を生きる力をもたらしてくださいます。わたしたちの混沌に働きかけてくださる救い主のご降誕と、新しい一年の始まりを、共に喜び、感謝のうちに祝いましょう!

Frohe Weihnachten und ein gutes neues Jahr !!

齋藤 篤(さいとう・あつし)ケルン・ボン日本語キリスト教会牧師(日本基督教団在外教師)。1976年福島県福島市に生まれる。日本聖書神学校卒業後、日本基督教団岩本教会(静岡県富士市)を経て、2012年春より現職。牧師である妻と2人暮らし。

                     

絵/サクマメイ 都内在住イラストレーター。『犬とまほうの人さし指!』(あかね書房)、『メリンダハウスは魔法がいっぱい』(WAVE出版)ほか多数でイラスト、挿画、児童書や生活書の書籍イラストなどで活躍中。聖書カードゲーム「バイブルハンター アドベント」にイラストレーターとして加わり、パッケージのメインイラストとキャラクターカードの一部を担当した。

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