並木浩一著作集完結でシンポ 教え子ら「知性の姿」浮き彫りに 2014年12月25日

 2013年から14年にかけて刊行された『並木浩一著作集』(日本キリスト教団出版局)全3巻の完結を記念するシンポジウムが11月28日、日基教団中渋谷教会(渋谷区桜丘町)で開催された(同実行委員会主催)。並木氏本人と直接間接に指導を受けた教え子らを含む約120人が集い、会場は熱気に包まれた。

 並木氏はヨブ記研究などで知られる、日本を代表する旧約学者の1人。1964年から40年余にわたり国際基督教大学で教鞭をとったほか、東京神学大学でも非常勤講師を務めてきた。

 シンポジウムで登壇したのは、同氏と深いゆかりのある4氏。永野茂洋氏(明治学院大学教授)による司会のもと、小友聡氏(東京神学大学教授)は「旧約学者としての並木浩一」を、森本あんり氏(国際基督教大学教授)は「教師としての並木浩一」を、高橋一氏(日本基督教団教師)は「信仰者としての並木浩一」を、奥泉光氏(小説家)は「表現者としての並木浩一」を論じた。

 小友氏は、聖書テキストに分け入り、テキストの奥にある人間の営みを浮き彫りにする並木氏の独創的な旧約学を、「想像力」などのキーワードをもとに明らかにした。森本氏は、自身の手紙や論文などを並木氏が丁寧に保管していたことを後になって知り、ずっと氏の見守りのうちにあったのだと知らされた経験を披露。高橋氏は、並木氏の信仰の特徴として、「ものを考えること」を信仰との関連で排除しないという点を挙げ、懐疑と信仰という一見矛盾する要素が氏の中に存在し、その学問と信仰を形成してきたことを述べた。奥泉氏は、並木氏は人文学・社会科学を網羅する広範な学びを重ねつつも、旧約聖書学という自らの専門領域に自己限定し続けたこと、また氏の学問的表現の基礎にある詩人的直感力に言及した。

 担当編集者は、「各発題が浮き彫りにしたのは、並木浩一という大きな知性の姿。その格闘の軌跡が今回の著作集であり、後に続く者として、多くを学ばせていただきたいとの思いを与えられた」と振り返った。

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