武力によらない事態の打開を 後藤健二さん殺害受け、集会や声明 2015年2月14日

 過激派組織「イスラム国」がジャーナリストの後藤健二さんを殺害したとする映像を公開したことを受け、2月2日、首相官邸前では「平和をつくり出す宗教者ネット」主催の宗教者祈念集会が行われた。キリスト教、仏教、イスラム教の参加者約40人が、湯川遥菜さんと後藤さんを追悼した。

 後藤さんが毎年講演を行っていた玉川聖学院(東京都世田谷区)は2日、生徒・卒業生、保護者に向けてホームページでコメントを発表。「後藤さんが私たちに伝えてくださったメッセージは、どんなに悲惨な現実があったとしても、それにより怒りや憎悪を膨らませるのではなく、事実を事実として見極めることであり、その中から自分の置かれた場で、平和への道筋を探り出す努力をすることの大切さでした」と述べた。

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 日基教団大阪教区社会委員会(斎藤成二委員長)は2日、「『イスラム国』による湯川遥菜さんと後藤健二さんの殺害に抗議し武力によらない事態の打開を求めます」との声明を発表。

 今回の事件について、「全く許容できるものではありません」とし、「人の命や尊厳を奪う行為は、どのような場合であれ、奪う側に責任があります。神の律法にあるように、人は人の命や尊厳を奪ってはいけないのです」と主張した。

 一方で、「中東諸国の政治的混乱には諸外国、特に日本を含む『西側先進国』と呼ばれる国々の思惑が大きく影響していることも覚えなければなりません」とし、また「イスラム教信仰が戦争やテロの動機ではありません」と述べ、「無自覚に『イスラム国』の暴挙を批判するだけでなく、私たちの暮らしにエネルギーを確保する代償として、中東諸国の人々に不公正・不安定を強いていることの自覚が求められます」と強調。

 さらに、人質となった人々の「自己責任」を問うのではなく、平和を願って紛争地に赴く人々の安全を祈ると共に、「地球規模での対話と共存への具体的な取組を志す者でありたい」と訴えた。

 また、今回の事件を契機に、日本政府が自衛隊の海外派兵に積極的に踏み出そうとすることを懸念し、「平和を求めて紛争地に赴いた人の命を口実として、戦争を実行することがあっていいはずがありません」として、日本政府が武力によらない方法で中東世界の平和に貢献するよう求めた。

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