「どんな聖書になるのですか?」 聖書事業懇談会(日本聖書協会) 2015年3月28日

 日本聖書協会による聖書事業懇談会「どんな翻訳になるのですか?」が3月6日、フクラシア東京ステ―ション(千代田区大手町)で開催された。同懇談会は、同協会の聖書普及の現状を伝え、聖書を用いる様ざまな立場からの意見などを聞き、今後の活動に生かしていこうという主旨で毎年開催されている。同協会では、『新共同訳聖書』の次の聖書になる新翻訳聖書の作業が進められていて、同懇談会は柊曉生氏(新翻訳事業翻訳者兼編集委員、南山大学人間文化研究科非常勤講師)の「原文の意味・訳文の意味」と題した講演と新翻訳についての質疑が中心に進められた。

 柊氏は翻訳過程の語彙の問題で、多くの意味をもつ多義的な原語をどのように訳すのかについて「原語には色々な意味が込められている。読み手によって解釈の豊かさがある。そのなかにあって、原語翻訳段階でいかに旨味を引き出すか、また他の意味を殺ぎ落として訳を決める」と話した。また聖書翻訳から見えてくる興味深い事柄を時には日本の神話の言葉を例にして語った。

 講演後は参加者が書いた提言カードを元に質疑があり、渡部信氏(同協会総主事)、及び同協会担当者が答え、次のような質問もあった。

 訳語が一定しないのは信仰の不安定さになるのでは?  今翻訳を進めているのは次世代のため。新しい翻訳がフィットする世代のためです。現在の訳がフィットしているのであればそれを使っていただきたい。

 同協会の大宮溥氏(同協会理事長)は挨拶で「翻訳は言葉を変えるのではなく命をもっていて、もう一つの生を持っている言葉に翻訳される。文字にでてこないところを心に留めながら翻訳にあたっている。21世紀の聖書として用いられるよう願っている」と述べた。

 同懇談会は4月10日、大阪市(梅田スカイビル・タワーイースト)でも、津村春英氏の講演で開催が予定されている。
 

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