「違法」中国人司教が台湾訪問 「叙階認めるのでは」との推測広がる 2015年3月28日

 中国政府がバチカン(ローマ教皇庁)の承認なしに叙階した「違法」司教の1人が、この春節(中国の正月)の間に台北を訪問したことに、台湾カトリック教会が困惑している。バチカンが、中国政府の一方的な叙階を認める用意が出来ているのでは、との推測に火が着いたとするアジア専門のカトリック通信「UCAN」の報道を紹介する。

 台湾を訪問した中国北部・安徽教区のヨセフ劉新紅(リュウシンホン)司教は、2006年5月にバチカンの承認なしに叙階された。劉司教は4日間の訪問を2月26日に終えたが、台湾訪問中に現地の内外宣教者と会談している。

 同司教は台北市に隣接する新北市の神学校「聖博敏神学院」に滞在した。しかし台湾の信徒は劉司教が、バチカン非認可の中国本土司教8人の1人だとは気づいておらず、台北のヨハネ洪山川(ホンシャンチュアン)大司教はUCAN通信に、訪問について事前には知らされなかったと語っている。

 訪問は、劉司教がイエズス会のマルコ・ファン神父と、外国人神父や台湾人神父も一緒に食事している光景を、ある女性信徒がフェイスブックに投稿したことで、初めて明らかになった。「訪問をフェイスブックの写真で初めて知った」と洪大司教は語っている。

 「違法」中国人司教と海外の教会関係者との会合は、激しい論議を呼ぶものと考えられる。北京政府による一方的任命の正当化と見られ、バチカンの権威を危うくすることになるからだ。

 「劉司教は安易に台湾を訪問出来たわけではない。何か背後にあるに違いない」と中国の教会観測筋は、問題の微妙さを理由に、匿名で語った。「ローマ(バチカン)は、『違法』司教8人という重要問題を、中国政府への応答として解決しようとしているのかもしれない」

 公式にはバチカンは、重要課題である司教任命権を「北京」(中国政府)が諦めるべきであり、また信教の自由に関するこれまでの政策改善を要求するという立場を維持している。

 しかしここへ来て、バチカン内部の状況が変わり、最近の窮状脱出の方法として叙階について妥協することにしたとの推測が盛り上がっている。

 教会観測筋は「中国・バチカン関係をめぐってローマと中国の外側の教会との間に異なる二つの路線が出てきたことは明らかだ」と語っている。(CJC)

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