歌うシスター、ロック調の曲も ヨーロッパで大反響のシスター・クリスティーナに聞く 2015年4月4日

 イタリアのオーディション番組に出演し話題をさらったシスター・クリスティーナ。番組の最初のオーディションは審査員が出場者の声だけを聴いて、その声を気に入ったらボタンを押して初めてその姿を見られる方式で、アリシア・キーズの「No One」を歌うクリスティ―ナの声を聴いて審査員全員が振り返り、まさかこの声が修道女かと驚き、思わず絶句したという映像はYou Tubeで紹介され、2014年11月で6千5百万回再生されたという。クリスティーナはオーディションで優勝し、ユニバーサルミュージックと契約。14年11月にヨーロッパで先行発売された『シスター・クリスティーナ』はイタリアとフランスでゴールドディスクを獲得。「ライク・ア・バージン」(マドンナ)、「トライ」(P!NKU)「ノー・ワン」(アリシア・キーズ)、「トゥルー・カラーズ」(シンディ・ローパー)など、シースターが?と一見思える曲目も並ぶアルバムは日本でも3月11日に発売された。プロモーションのために来日したクリスティーナに聞いた。

音楽と親交は葛藤を越え一体に

 イタリアのシチリアで生まれ育ったクリスティーナは歌が好きな子で、学生の時に参加したミュージカルの題材が修道会の創立者だったことで信仰に興味をもち、やがて2009年に修道女になるために修道院に入院した。修練士としてブラジルに派遣された2年間が自身を変えたという。――

 「修道女になるまでのたどり着く道ということで行きました。イタリアでも神に召されて修道女になる人は減っています。そんな中で行った2年間は、人生を根本的に変えるものでした。それまで一年半ほどローマで勉強していた時は、教会や修道会のことなどあまりにも規則、ルールに縛られていて、これはやってはいけない、これもしてはいけないで自分自身を縛り付けている感じでしたが、ブラジルに行って若い現地の人たちと交流を持つようになると、そこにはイタリアほど保守的ではないオープンな文化がありました。音楽がコミュニケーションの方法として使われ、神父さん、シスターが歌います。新しい教会も若い人たちによって生まれ、新しいものを取り入れようとする活発な教会が生まれようとしていました。自分の心が清められるような思いがし、自分の心の中、内面もすっかり変わったような気がします。音楽と信仰が両立しないのではないかとの葛藤がありましたが、信仰と音楽が一体になれるのだとの思いになりました」

 

 アルバムにはコールドプレイ、デュラン・デュランらの曲にオリジナル曲も収められている。選曲は歌詞の意味を中心に自分で選んだという。なぜこれらの曲なのか?――

 「日頃聴いている自分の好きな音楽のジャンルの曲で、歌詞の解釈の仕方を自分なりに新しいものに変えました。例えばライク・ア・バージンは愛の祈りという風にとらえました。自分が伝えたいと思うメッセージを伝えてくれる歌詞だと思い選んだ曲もあります。オリジナル曲は私自身の物語で、私も神への道を歩む前は疑いを持っていたり苦しんでいたり、不安だったりした時期もありますので、そういう私の心の動き、私自身の個人的な物語でもある訳です」

おかげで「教会が身近になった」が一番嬉しい。

 修道院長からの勧めもありコンテストに出場し、大きな話題になり、レコード会社と契約しアルバムを出し、プロモーションで各国を訪問する現在まで、目まぐるしい日常の変化だったと想像する。今はどのような思いなのか?――

 「最初は大変でした。これほど大騒ぎになるとは予想もしていなかったので。最初の頃はちょっと買い物をするにもカメラマンに追いかけられるとか、記者がついて来るとか、ストレスを消化するのは大変でした。でも今になってみるとやはり良い方向に働いたと思います。例えば道を歩いていても、それまでは修道女だというだけで見向きもしない、興味もないという人たちが寄ってきて挨拶をし『素晴らしい歌を聴かせてくれてありがとう』といって一緒に写真を撮ってほしいという人も大勢います。世界各国を旅するようになったのも大きな経験だと思います。大勢の人がメッセージを寄せてくれ、今自分がしていることに対して『ありがとう、おかげで教会が身近になった』というような声が寄せられる、これが一番嬉しいことです」

 クリスティーナはウルスラ聖家族修道会に所属している。イタリア、コルシカ、ブラジルでシスターが80人程活動している修道会で、青少年の教育に力を入れ幼稚園、小学校、を持っている。ミラノでは主に幼稚園と青少年に歌、ダンス、演技を教える学校を持っていて、聖書を教える教室、夏休みの活動を籐して青少年の活動を支援しているという。歌っていない時のクリスティーナは私の仕事という特別なものが有るのではなく、必要なことは何でもするという。お皿を洗う必要があればするし、助けを必要としている家族があればそこに行ってお手伝いをし、教区の若者と一緒の合唱団の指導もする。歌うことのこれからについて聞いた。――

 「今を大切に生きています。もし可能であればもちろん歌い続けることによって神の言葉を広めていきたいと思いますが、例えば明日修道院長が止めなさいといえば、私にとって修道院長の言葉は神の言葉でもある訳ですので。常に神の御心に自分のすべきことを任せていますので、神が望むところに私はどこへでも行きます。どこへ行くか、どのような形で行くか、それは神様の心のままに従います」

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