アルメニア人殺害は「ジェノサイド」 教皇発言にトルコ反発、駐バチカン大使召還 2015年4月25日

 教皇フランシスコは4月12日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で、オスマン・トルコ帝国末期の1915年ごろに150万ものアルメニア人が殺害された事件から約100年になるのに合わせミサを行い、事件を「ジェノサイド(集団虐殺)」だったと表現した。

 AFP通信などによると、教皇は過去1世紀の間に人類は大きな悲劇を三つ経験したと指摘し、元教皇ヨハネ・パウロ2世らが署名した文書を引用する形で、キリスト者が多数派だったアルメニア人の殺害を、ホロコースト(ナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺)、ソ連最高指導者スターリンの大粛清と並ぶ「前世紀の前代未聞の3大惨劇」と位置づけ、「20世紀最初の虐殺と広く認識されている」と述べた。虐殺と認めないトルコを批判する形になった。

 欧州諸国をはじめ多数の国が「ジェノサイド」を公式に認定しているが、トルコ側は殺害を認めるものの、「部族間衝突の犠牲者」などとして「虐殺」を否定している。

 教皇は自身の言葉で事件を「ジェノサイド」と表現してはいないが、サンピエトロ大聖堂という場で、アルメニアに関連して「ジェノサイド」という文言を使ったのは初めて。

 教皇は過激派組織「イスラム国」などによるキリスト者迫害を強く非難しており、アルメニアの多数のキリスト者に対して配慮を示したと見られる。「弱者に寄り添うとの考えから、事件から100年の節目に過去の過ちを認めるよう促す意向があるのでは」と推測する向きもある。

 教皇の発言を受け、トルコ政府は、自国の駐バチカン大使を召還した。

 トルコ外務省は12日、声明で「教皇は第一次大戦で死亡したトルコ人、イスラム教徒の悲劇は無視して、キリスト者、とりわけアルメニア人の苦しみだけを強調した」と抗議した。

 今回、トルコが猛反発したのは、迫害100年に際してバチカン(ローマ教皇庁)で開いたミサという公の場での発言だったためと見られる。

 バチカンにとってトルコはイスラム諸国との対話窓口であり、過激派組織対策での重要国。「ジェノサイド」発言は教皇の推進するイスラム教との宗教間対話やバチカンとイスラム圏との関係にも影響を及ぼし兼ねない。(CJC)

 

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