福祉・教育・教会のネットワーク作り 人材育成が急務 2015年4月25日

講師、パネリストらが意識共有 第1回サポートネットワークシンポ

 社会福祉法人キングス・ガーデン東京(泉田昭理事長)は、キリスト教社会福祉の理念による福祉・教育・教会のネットワークを作る足がかりとして、第1回サポートネットワークシンポジウムを5月30日、日本イエス・キリスト教団荻窪栄光教会(東京都杉並区)で開催する。これに先立ち4月14日、講師の市川一宏氏(ルーテル学院大学前学長)をはじめ、パネリストらが練馬キングス・ガーデン(東京都練馬区)に集まり、問題意識を共有するための座談会を行った。

 参加したのはパネリストの廣瀬薫(東京キリスト教学園理事長)、中島秀一(荻窪栄光教会牧師)、阿久戸光晴(聖学院理事長・院長)、中島真樹(練馬キングス・ガーデン施設長)の各氏。

 この日は、市川氏が基調講演として予定している内容について共有した上で、牧師、大学教員の立場から、「伝道と社会的責任を分けて、『魂の救い』こそ宣教だという狭い理解を改める必要がある」「牧師が信徒に仕えるように、教職員と学生も互いに仕える体験ができるような共同体を作らなければならない」(広瀬)、「牧師になることだけが『献身』ではないという意識が、教会ではなかなか浸透しない」「日本の福祉はすべてキリスト教で賄うというぐらいの気概が必要」(中島)、「福祉の現場へ送り出す側にも責任がある。長年の現場体験で疲弊している方々にも励ましになるメッセージを届けたい」(阿久戸)などの意見が交わされた。

  (左から)廣瀬、中島秀一、阿久戸の各氏

 中島氏は、「『誰もが愛され、大切にされる尊い存在』として、支え合う地域づくりのため、ネットワークの輪を繋ぎ、拡げていきたい。共に考え、共に一歩を進めていけたら」と参加を呼びかけている。

 申し込みは、氏名・職業・連絡先・メールアドレスのほか、希望する分科会、登壇者への質問などを記入の上、5月7日(木)までに、WEB、FAX、Eメール、ハガキ、電話で社会福祉法人キングス・ガーデン東京・法人本部事務局=渡部、中島(〒179-0085 東京都練馬区早宮2の10の22 練馬キングス・ガーデン内/℡03・5399・2201 9時~17時(土日・祝日を除く)/Fax03・5399・5220/サイト http://www.kg-tokyo.or.jp/Eメール supportnet@kg-tokyo.or.jp)まで。

第1回サポートネットワークシンポジウム
「福祉・介護の『働き人』を育て送り出す――キリスト教社会福祉の理念による福祉・教育・教会のネットワーク」
【日時】5月30日(土)13時~17時(12時半開場)
【会場】荻窪栄光教会(東京都杉並区南荻窪4の6の11)
【定員】200名
【基調講演】
「福祉とキリスト教――『おめでとう』で始まり『ありがとう』で終わる人生」
市川一宏氏(ルーテル学院大学前学長/学事顧問・教授)
【分科会】①福祉・介護関係/②教育関係/③教会関係/④福祉・介護サービスについて

 

「担い支え合う中で充実する場に」中島真樹氏(練馬キングス・ガーデン施設長)

 少子高齢社会を迎え、首都圏においてもその対策が迫られる中、地域における「支え合いの輪」を広め深めていくことが求められている。そのため当法人では昨年よりサポートネットワークプロジェクトを開始した。

 これは、キングス・ガーデンの活動をサポートしていただくためのPRにとどまらず、この首都圏においての支え合う文化(福祉文化)の啓蒙活動であり、キングス・ガーデン東京のような社会福祉法人だけでは担いきれない広範囲かつ多様な課題を、関係団体や住民が共に考え、連携し、解決のために協働していくためのソーシャルプロジェクトとも言える。そのために、キリスト教社会福祉の理念により繋がる例えば各地域の教会などが、コミュニティづくりの拠点となれるよう、その実現のためのネットワーク化を進めていく必要がある。

 わたしたち福祉・介護の現場に身を置く者の実感としては、働く人材の確保が事業を継続させていく上では、いちばん大きな課題となっている。

 この3月に東中野に新しい事業を立ち上げたが、これまでと同じ方法で募集をしても反応がほとんどなかった。そこで、人材募集のノウハウを良く知っている業者に全面的にバックアップを受け、短期集中ではあったが広告にお金とパワーを相当使うことで、また資格・経験を問わないとハードルを下げたことも功を奏し、なんとかオープンまでに30人ほどの人材を確保することができた。

 再来年の8月には、練馬の倍以上の規模になる新施設「練馬の丘キングス・ガーデン」の開設を予定しており、60人以上の大量の人材が必要となる。最近では、特に東京では大きな施設を建設しても、人材が集まり切らないといった事例が続いている。

 誰でも良いというわけではないが、ある程度のやる気と適性をもった人であれば、一定期間の研修を経て、多くの人が一人前へと自立し、長く継続して働く人材へと成長していくことができる。そして、その一人ひとりの職員が、たった一人の大切なご利用者と出会い、その関わり合いの中で教えられ、磨かれ、この福祉介護の仕事でないと味わえない、何とも言えない充実感ややりがいを見出していくことになる。そのためにも受入体制の充実とともに、魅力のアピールを積極的に行っていくことが肝心であると認識している。

 これからは、大量の福祉介護人材が必要となってくる。10年先の2025年には33万人もの介護職が不足するとの予測も出ている。わたしたちのような福祉事業所で専門職として働く者の数も大量に必要であるが、これからは裾野を拡げ、多様な人材参入を促すため、良い意味で分業をし、部分的に役割を担える多様な人材が活躍できる場も共に考えていく必要があるだろう。

 そこは若者、学生、シニア層、主婦層、外国籍の方など、地域における多様な人材が互いの持っている物を持ち寄って、支え合っていく場となる。これは、互いの弱さを担い合い、支え合う聖書が語るキリスト教世界観、神の国の実現に近いイメージではないか。

 

 

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