「イスラム国」の実態は〝わからない〟 メディア関係者有志が日本人ムスリム招く 2015年5月2日

 「日本人ムスリムが見た仏紙襲撃とISILの背景」と題して、イスラム教徒で臨床宗教師のナセル永野さんを囲む学習会が3月16日、日基教団富士見町教会(東京都千代田区)で行われた。キリスト教メディアの関係者有志による「キリスト教記者クラブ」のオフ会として企画されたもの。当日は一般メディアの関係者、フリーライター、臨済宗妙心寺派・東京禅センターに属する僧侶も含め、さまざまな教派・団体から20人以上が参加した。

 同クラブのオフ会は不定期に開催されているもので、毎回さまざまなテーマに沿ってゲストを囲み、交流と研鑽を重ねてきた。今回は、この間の仏紙「シャルリー・エブド」襲撃事件やイスラム過激派組織「ISIL」(イスラム国)による日本人拉致殺害事件などをふまえ、その背景や国内のモスクでの動き、イスラム教に対する誤解と偏見、差別などについて考えるという目的でナセルさんを招き、「日本人ムスリム」の声に耳を傾けた。

 ナセルさんは大前提として、「イスラム国」についても指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディー氏についても、「情報が少ないため、はっきりしたことは誰にもわからない」と強調。にもかかわらず、メディアを通して断定的な解説が流布されることへの懸念を示した。

 また、異教徒への弾圧が非難されているが、米軍で対中東の指揮をとっているのは「イスラム教徒を一掃すべき」という考えのキリスト教原理主義者で、アメリカの無人爆撃機による民間人の死傷者も多数出ていることを紹介した。

 数年前まで、東南アジアなどでは「イスラム国」への資金提供を目的とするチャリティー商品が、ネット上などで公然と売られていたという=写真。「イスラム教には組織も、職位もないので、彼らに対して『正統ではない』と断言できない」とナセルさん。

 終了後も白熱した議論が交わされ、参加者からは続編を期待する声も聞かれた。同クラブのオフ会は不定期で行われており、ブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/cjc_skj)上で告知をしている。

 

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