油まき被害拡大を危惧 情報提供の牧師ら会見 元職員が教団の実態を証言 2015年6月27日

 全国の神社や仏閣に油のような液体がまかれた事件で、アメリカ在住の医師でIMM(インターナショナル・マーケットプレイス・ミニストリー)創設者の金山昌秀氏(会見では「K氏」と紹介)に対し、建造物損壊容疑の逮捕状が出たことを受け、報道機関向けの記者会見が6月5日、お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で開かれた。会見には、宗教トラブル相談センター代表の村上密氏(日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団京都教会牧師=写真右側)、かつてIMMで事務局を務めていたというキリスト教カルト化被害者支援ネットワーク事務局の櫻井寿子氏、日本キリスト教異端相談所所長の張清益(チャンチョンイク)氏=写真左側、クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一氏の4人が出席。液体がまかれる被害は全国各地の寺社で相次いでおり、奈良市の唐招提寺や東大寺、京都市の二条城、清水寺を含む16都府県、48寺社や城郭に及んでいる(5月29日時点)。

 

村上氏「未然に防止したかった」

 IMMは2013年5月、K氏によって設立されたキリスト教系の宣教団体で、ホームページでは「主から召しを受けた一般信徒が、御国の福音を職場、家庭、学校、ビジネスから市町村そして日本全国へと広がる働き」とし、「100%の献身により私たちは真のキリストの弟子となり主の御声を聞き、主に従います」と宣言。具体的には、「リバイバル聖会、伝道聖会、大学生集会、医療聖会、ビジネス聖会」など諸集会の開催、宣教師の派遣などを計画している。

 ホームページではK氏の略歴について、「東京出身。17才の時イエス・キリストと個人的に出会いクリスチャンとなる。神様からクリスチャンドクターとしての使命を受け渡米、医師となる。その後ニューヨーク子宮内膜症センターを開設。その卓越した技術、多くの奇跡の癒しが評判となり、世界中から訪れる子宮内膜症や難病患者は絶えない。2006年以降、子宮内膜症不妊症分野の全米トップドクターとして選ばれ続けている」と記されている。

 全国各地での講演のほか、台湾、トルコ、フィリピン、パキスタン、ノルウェーでの活動についても報告されている。

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 今年4月半ば、各地の被害に関する報道に接した村上氏は、キリスト教系の新興団体が関与している可能性が高いと考え調査を始めたところ、K氏が「油をまいた」と証言している映像を入手し、5月に京都府警下京署、福岡県警博多署に情報を提供。映像は2012年、13年のもので、油をまいた場所の写真を掲示しながら講演する様子が撮影されている。

 村上氏は、「K氏は聖霊の命令に従って油をまき、悪霊を追い出せば、天使が降りてきて守ってくれ、いずれリバイバルが起こると主張している。発展性のある内容だったので、被害が拡大する前にできる限り早く警察に知らせた方がいいと考えた」と、情報提供の理由を説明。また、「K氏の講演に対する聴衆の反応が良い。感化されたIMMのメンバーが近くに油をまきに行ったということもわかっている」と話した。

 

破壊的行為エスカレートに警戒感

 2013年7月に東京で開かれた集会でK氏は、全国100箇所以上の寺社を訪れ、「かつて虐殺があった」「呪われた場所」などとして「油で清めて呪いを取り除いた」と証言している。さらに、「偽物の『君』は5月12日昼の12時に…(天から遣わされた巨大なみ使いに捕えられ)ホームレスになり身体障害者になり、日本から追い出されました」と宣言。動画には、会場からの盛大な拍手も収録されている。

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 張氏は、K氏の背景を知る手がかりとして韓国の宣教団体「インターコープ宣教会」について説明し、韓国でも独善的で強引な宣教手法について問題視されていることを紹介。「神社は悪魔の巣窟だという極端な二元論の立場に立ち、悪を打ち砕かなければ宣教が進まないという考え。2030年に終末が来るという教えもある」と語った。

 根田氏は、「反対する団体は祝福を失う」というK氏の発言がカルト教団の典型的な論法であるとし、聖書の内容とは無関係に「神に示された」という個人的な体験に依拠している点、K氏に対しても100%の従順を求められ、できないと「落伍者」との烙印が押されている点を問題として指摘した。一方で、「どの宗教にも極端な考えの信者がいる。韓国系の教会だから日本文化に敵対心を持っているというわけではない」とも補足した。

 昨年まで8カ月間、IMM内にいた櫻井氏=写真下=は、マインドコントロールの危険を感じて幹部らに再三訴え出たものの、激しい反論にあい、精神的にも追い詰められたという。

 K氏が招かれている教会は特定の教派に限らず、80年代以降、「悪霊との戦い」を宣教の一環として取り入れてきた教会が多い。村上氏は「同じキリスト教からこのような極端なグループが出て、神社や仏閣にご迷惑をおかけしたことの責任を感じる。教会の自浄作用の一つとして、今後も事件が起こる前に何らかの対策を立てたい」とした上で、これまでIMMによる金銭的・身体的な被害は報告されていないが、今回の騒動を受けて信者らによる破壊的行為がエスカレートしていく危険性はあると警戒感を示した。

 IMMは会員制の宣教団体ではないので、正確なメンバー数は把握できていない。

 

(撮影=山名敏郎)

 

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