衆議院での強行採決に抗議 「近隣諸国と信頼築き、世界平和へ貢献を」 2015年8月1日

 安全保障関連法案が7月16日に衆議院本会議で可決されたことと前後して、各教派・団体から抗議の声明が相次いで発表された。

 日本ナザレン教団は14日、理事長・古川修二氏と社会委員会委員長・関谷信生氏の連名で衆参両院各議長宛に、同法案に反対し廃案を求める書簡を発信。同教団が1999年に採択した「戦責告白」に基づき、同法案は、戦争の放棄を定めた憲法9条に反する法案だと主張。軍事力に依らず、〝積極的平和外交〟により、憲法9条を有する国家として相応しい政策を遂行するよう求めた。

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 日本宗教者平和協議会(荒川庸生理事長)は15日、「安倍首相と自民・公明の与党による戦争法案の採決強行の暴挙を糾弾し、廃案を要求する」声明を発表。「外交努力を怠り、安易に武力行使をすれば、そこから果てしない暴力の連鎖が始まることは明らかであり、日本国憲法は、日本が歩むべき未来に則した極めて現実的な指針」だと訴えた。

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 日基教団奥羽教区(邑原宗男総会議長)は15日、安倍首相および浜田靖一氏(衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会委員長)宛に抗議声明を送付。「『集団的自衛権行使』を実現する安全保障関連法案こそ、国際的緊張を高め、敵愾心を煽り、人を戦争へと駆り立て、立憲主義を崩壊させるもの」だとして、キリスト者として否の声を上げると述べた。

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 日本バプテスト同盟理事会(山本富二理事長)は16日に安倍首相宛の抗議声明を発表し、「わたしたちは、安全保障関連法案に反対し、衆議院特別委員会における強行採決を認めません」と主張。「日本の周辺諸国、世界のあらゆる国々との信頼関係を培っていくことこそが今日本政府のなすべきこと」だと強調した。

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 日本YMCA同盟(島田茂総主事)は16日、同法案の衆議院本会議での可決に対し、廃案を求める緊急声明を発表。日本が、青年平和交流事業、国際交流事業、国際協力事業によって、国や民族・宗教を超えた相互理解を促進し、平和の関係を築いてきたこと、また軍隊を放棄し、軍事力によらない世界の平和に貢献してきたことを振り返り、「今も国際協力・交流の貢献が世界の人びとに期待されている」と強調した。

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 日本福音ルーテル教会社会委員会は16日、「安保関連法案についての現状を踏まえ、これを憂う」という文章をホームページに掲載。同委員会が作年9月に発表した文書「真の平和を実現するために―集団的自衛権の行使容認を懸念する―」と、2006年の同教会第22回総会で発表された「『日本国憲法』の前文および第9条の改定に反対する声明」を掲示して同教会の姿勢を示した。

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 国際基督教大学(ICU)特任教授・千葉眞、同客員教授・稲正樹、同社会科学研究所顧問・功刀達朗の3氏は連名で、「衆院での強行採決に抗議し、安保法案の撤回を求める」声明を16日に発表。戦後日本の「平和国家」路線が取り除かれようとしていることを危惧し、「私たちが目にしているのは、国家権力に縛りをかける立憲主義そのものを破壊する憲法無視の政治である。それだけでなく、議会制(間接)民主主義と民意(直接)民主主義の双方を破壊しかねない政治である」と訴えた。その上で、従来からの非軍事と国連との連携を基軸とした平和路線を堅持しつつ、近隣諸国との間に協調的安全保障を追求し、NGO、企業、議会、自治体と連携して世界平和に寄与していくことを勧めた。

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 日本キリスト教会(田部郁彦大会議長)は17日、同法案採決に対する反対声明を発表。同法案は「明らかに立憲主義の原則、またその精神を踏みにじり、憲法の解釈を大幅に変更することによって、国家が恣意的に権力を行使することを容認するもの」だとし、近隣諸国との緊張を高め、戦争状態を引き起こす要因にもなりかねないと危惧した。

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 日本ホーリネス教団は、委員長・中西雅裕、総務局長・島津吉成、福音による和解委員会委員長・平野信二の3氏の連名で17日、同法案の強行採決に抗議する声明を安倍首相宛に送付。「立憲主義・民主主義の理念に基づき、また、聖書の命ずるところに従い、もしも安全保障関連法案が可決成立したとしても、これを遵守すべき法規として認めることはできません」と主張した。

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 日本キリスト者平和の会(平沢功事務局長)は19日、「戦争法案の強行採決に抗議し、廃案を求める声明」を発表。自民・公明両党に、憲法前文と第9条を読み直すこと、「この憲法を尊重し擁護する義務を負う」(憲法99条)為政者として誠実に履行することを要請した。

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 他にも、日基教団京都教区の宣教部(横田明典委員長)と「教会と社会」特設委員会(竹内宙委員長)が12日に「戦後70年 平和を求める京都教区シンポジウム」を開催し、4項目から成る声明を採択。その最初の項目で、集団的自衛権の行使容認が昨年閣議決定されたことに抗議し、安保関連法案の廃案を求めた。

 

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