CCA総会で「憲法9条」課題に 上田博子氏「アジア諸国が日本の軍事化憂慮」 2015年8月8日

 「神の家族として共に歩む」を主題に、アジアキリスト教協議会(CCA)の第14回総会が5月21~26日、インドネシア・ジャカルタで開催された。186人の代議員を含む約500人が参加した=写真。

 CCAは21カ国、101教会、17協議会が加盟している。総会の開催は5年に1度。今総会に日本からは、日基教団、在日大韓基督教会、日本キリスト教協議会(NCC)がそれぞれ代議員を派遣し、オブザーバーとして日本キリスト教婦人矯風会からも参加者があった。

 最終日には、今総会期に取り組むべき課題として、パブリック・イシュー委員会からレポートが提出され、5年間の活動の方向性が示された。

 英文6ページのこのレポートは、加盟団体から提出された約30の提案書に基づいて作成されたもの。①「受難の人々」、②「アジア太平洋地域の平和と安全」、③「気候変動」の3部で構成され、それぞれ複数の項目と勧告から成り立っている。

 NCC選出議員、CCA常議員として参加した上田博子氏(日本キリスト教婦人矯風会女性の家HELPディレクター)が、このレポートの中から日本の課題を次のようにまとめた。

     ◆

①「受難の人々」
 7項目と9勧告。最初の4項目はいわゆる「人身取引議定書」3条に規定されている内容であり、人身取引を最優先課題とするように勧告されている。

②「アジア太平洋地域の平和と安全」
 4項目と6勧告。4項目の1項目は、「北及び東南アジアの軍事化」であり、米国が中国対策として韓国・フィリピン・タイ・インドネシア・シンガポール・オーストラリア及び日本に軍事基地建設や、駐留軍の増強を計っていることに対して強い懸念を表明している。当該項目の最後の文書は「大変残念なことに日本の内閣総理大臣安倍晋三は日本国憲法第9条を再解釈、自衛隊の機能を再定義し、同盟国を支援し、あるいは共通の敵と戦うため、海外での活動の展開を可能にしようとしている」で結ばれている。

 6勧告の1は「米国と同盟国は、済州島・韓国、同じような情況の辺野古・沖縄での米軍基地建設をやめ、京都の新しい基地建設も中止すること。また、北朝鮮近海での軍事机上演習並びにその領域での同様の軍事行動を撤退させること」。3は「憲法9条を守るための運動を展開している日本キリスト教協議会の働きにすべてのCCAのメンバーが加わること」。

③「気候変動」
 気候変動による砂漠化・海面上昇、気候難民の2項目と2勧告。本年パリで開催される国連気候変動協議会にWCCと協働して働きかけをすることが勧告された。

 人身取引の課題が大きく扱われ、平和と安全が第2である。アジアでの平和と安全の課題の中心は、韓国、日本、ミャンマーであった。第2部の勧告2は、戦後70年に当たり、韓国独立記念日(8月15日)前後の9日~15日に朝鮮半島の平和と統一を共に祈るようすべてのCCAメンバーに呼び掛けている。

 9条の再解釈が憂慮され、日本の安倍晋三総理の名前が個人名としてこのレポートに唯一入ったことは、アジア諸国の中で日本が脅威として捉えられていることを如実に物語っている。全体会でも、日本の軍事化、安倍首相、日本国憲法9条などが繰り返し発言され、日本がアジア諸国を威迫し、憂慮されている実情を肌感覚で認識させられることとなった。

 今般NCCが努力を共に積み重ねてきた韓国基督教教会協議会(NCCK)と連名でパブリック・イシュー委員会に提案書を提出できたことは幸いなことであった。

 組織縮小のためにプログラムが整理され、重要であるが課題とならなかったものも多い。その一つに原子力発電問題も入り、残念な結果であった。しかし、今回、憲法9条や人身取引など、日本の喫緊の課題がCCAの課題となったこと、京丹後市のXバンドレーダー基地建設が辺野古と併記されたことは注目に値する。

 組織縮小の背景には、CCAの財政状況が色濃く反映されている。2010年以降、事務局では副総幹事・幹事を含むスタッフの減員が余儀なくされた。今総会中に財務担当が財政の健全化を訴えたが、財政を欧米のエキュメニカルパートナーに依存し過ぎていることが課題である。エキュメニカルパートナーからの支援は、確実に減少している。アジアのメンバー教会・協議会で財政責任を負えないメンバーがあることも覚えなければならない。今後さらに収入が減少し、財政の厳しさが増すことが想定される。

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