「道徳の教科化」で行動と心が統制 8・15東京集会で池田賢市氏が講演 2015年9月5日

 8月15日、「敗戦70年 道徳教科化を考える――子どもたちを戦場に送り出さないために」と題して、第42回「許すな!靖国国営化8・15東京集会」が在日本韓国YMCA(東京都千代田区)で開催された。フランスにおける移民の子どもへの教育政策を専門とし、「道徳の教科化」について発言を続けている池田賢市氏(中央大学文学部教授=写真)が講演を行った。

 今年3月、文部科学省が学校教育法の施行規則を改正し、道徳を「特別の教科」と位置づけた。池田氏は、道徳が教科になることは、評価・評定の対象になるということであり、「心の持ちようを国家権力が判断することが、教科化の最大の問題」と主張した。

 同氏は憲法25条に触れ、健康は「権利」であり、その権利を守るために国は福祉や公衆衛生の向上・増進に努めなければならないと定められているが、2002年の健康増進法はこの関係を逆転させ、健康を国民の「義務」としていると指摘。しかも同法が「生活習慣」を問題にしていることから、「国によって自分たちの体が管理される法律」だと述べ、道徳の教科化は、健康増進法の「体」「健康」を、「心」「道徳」に置き換えたものだと説明した。

 その上で、評価のためには到達目標を決めなければならず、それが道徳にできるのか疑問視した。「道徳は生活の仕方そのもの。価値観そのもの」と述べ、発想や行動はさまざまな条件によって決まるのであり、そうした文脈を無視すれば、現実の道徳から離れることになると論じた。

 また、評価という手段を通して子どもの行動や発言が規制されていくことを懸念。「心の中でいくら安倍政治を許さないと思っていても、政府を批判する発言はしない――そのような癖をつけるということではないか。どういう行動が褒められる行動なのか、道徳で学ばせるということだと思う。そのうち行動を通して心自体が統制されていく。政府批判など思いもつかなくなっていくと思う。学校生活に馴染めば馴染むほど批判的観点がなくなっていく」と訴えた。

 この集会は、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会と東京地方バプテスト教会連合社会委員会の後援で開催された。

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