魂への配慮に生きる共同体に DPC主催デール記念講演に加藤常昭氏 2015年9月12日

 日本ルーテル神学校の附属研究所「デール・パストラル・センター」(DPC、石居基夫所長)は8月1日、説教塾主宰の加藤常昭氏(日基教団隠退牧師=写真)を講演者に迎え、第2回デール記念講演「魂への配慮の共同体・教会」を開催した。会場の日本福音ルーテル東京教会(東京都新宿区)は、180人の参加者で満席となった。

 加藤氏は、かつて東京神学大学で実践神学教育を担ったことに言及し、活動の中心領域は説教学であったが、実践神学の学びの出発点は神学者エードゥアルト・トゥルンアイゼン(トゥルナイゼン)との出会いにあり、そこから始まる牧会学の学びも大切なものだったと振り返った。

 1956年に石川県の金沢で伝道を始めた加藤氏が自分の道を見失ったとき、指針を与えてくれたのがトゥルンアイゼンであったとし、「それ以後、教会の実践を考える時に、いつもトゥルンアイゼンを起点にしてきた」と明かした。

 トゥルンアイゼンは著書の中で、万人祭司の理念を実現するのは魂への配慮に生きる教会だと考えていたとし、そこでの教会とは、「キリスト者の共同体」としての教会だと解説。信徒が主体となって関わる信徒共同体が形成できるかを問題とし、教会が寺院化し、その営みが形骸化することを危惧した。

 その上で、トゥルンアイゼンが牧会を二人きりの対話と捉えたことに触れ、それはルター派の「ざんげ」の対話の伝統を受け継ぐものだと解説。「一般的に語られた説教が、礼拝が終わって二人きりになった時、その人の状況に応じて具体的な意味を持つ」。

 そして、今日の教会が厳しい伝道の行き詰まりの状況にある一つの理由は、説教が力を失っていることにあると指摘。説教が儀式化しており、それを助けているのが、教派を超えて広がっている講解説教の一般化にあると述べた。「説教が、しばしば聖書に忠実なようで、聖書のいのちある言葉を、今ここで聴くべき神の言葉を伝えることに成功していない。聖書の言葉を正確に説き明かしていれば、それで責任を全うしていると思い込んでいる」とし、「説教がすでに魂への配慮の対話になっているか」と問いかけた。

 

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