戦後70年のキリスト教振り返る 日中韓の視点から、日本基督教学会学術大会 2015年10月24日

 日本基督教学会(片柳榮一理事長)は、「キリスト教と戦後70年」を主題とする第63回学術大会を9月11~12日、桜美林大学多摩アカデミーヒルズ(東京都多摩市)で開催した。延べ174人(うち学会員は135人)が参加した。

 2日間で計42の研究発表があり、初日には月本昭男氏(上智大学特任教授、立教大学名誉教授)が講演。2日目のシンポジウムでは、同大会実行委員長・井上大衞氏(桜美林大学キリスト教研究所所長)の司会のもと、徐正敏(ソジョンミン)(明治学院大学教授=写真)、佐藤千歳(北海商科大学准教授)、小林望(新教出版社代表取締役)の3氏が発題した。

 徐氏は「戦後70年の日本キリスト教――韓国キリスト教との関係と比較」と題して戦後日韓のキリスト教の特徴を比較。日本のキリスト教に見られない点として、「リバイバル運動」「現世利益信仰(祝福信仰)」「教会成長主義」「伝道熱情」を指摘。韓国のキリスト教多数派に見られない点として、「懺悔と告白のプロセス」「『社会福音』的責任感」「キリスト者としての歴史認識」「宣教神学に対する批判的反省」を挙げた。

 佐藤氏は「高揚するナショナリズムと日中教会の対話の可能性」と題し、中国の浙江省でプロテスタント1200教会、カトリック500教会が取り壊されている現状を報告。こうしたキリスト教迫害の動きと、公認プロテスタント教会が抗日戦争の勝利を記念する礼拝を行う動きに共通する背景として、中国におけるナショナリズムの高まりを指摘した。一方で、教会迫害に対する公認教会による抗議にも触れ、「信仰のための闘いを共に担うことができないか」と訴えた。

 小林氏は「キリスト教出版から見た戦後70年のキリスト教」と題し、1990年代以降に急速なキリスト教書離れを引き起こした教会の質的な変化とは何かを考察。信徒も牧師も本を読まなくなり、「神学なきところにも教会あり」という状況にあると指摘した一方で、神学という言葉を人口に膾炙(かいしゃ)させた作家・佐藤優氏の貢献に言及しつつ、「教会で語られる言葉がそのまま世界に届く言葉になるような神学が、わたしたちの内から出てくることを希望している」と述べた。

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