いのり☆フェスティバル2015 能楽・弦楽器と響き合う聖書 神奈川・相模大野で初開催 2015年11月14日

 教会関係者によるフリーマーケットとして2011年から毎年秋に行われている「いのり☆フェスティバル」(略称=いのフェス)が今年は10月31日、日本バプテスト教会連合大野キリスト教会(神奈川県相模原市)で開催された(同実行委員会主催、キリスト新聞社、いのちのことば社出版部、十夜フェス実行委員会協賛)。これまで関東で4回、関西で2回行われてきた同イベントだが、神奈川での開催は初めて。実行委員のメンバーが同教会のスタッフであることなどから、実現に至った。

ヘブライ語詩編も即興で披露

 「いのフェス」は、キリスト教につながる関係者が教派や企業の「枠」を越えて一堂に会し、互いの活動をシェアしつつ教会内外に発信するというもの。今回も手作り石けんや同人誌、CD、イラスト、雑貨などを展示、販売するブースが並んだほか、日基教団東北教区被災者支援センター・エマオによる活動紹介、キリスト教リサイクルショップ「復活書店」による古書セール、「平和をつくる会と憲法9条にノーベル平和賞を実行委員会」による署名、聖書カードゲームの体験会なども同じ会場内で催された。

 メイン会場となった礼拝堂のステージでは、台湾出身の芸人である鄭凱元さんが腹話術を披露した後、「〝和〟でひもとく聖書――語りと歌と謡による『平和の祈り』」と題し、能楽師の安田登さん(下掛宝生流ワキ方)、槻宅聡さん(森田流笛方)、ライアー(竪琴)奏者の三野友子さんが、ギリシャ語の聖書に節をつけてアレンジするなど、能楽とキリスト教を融合させた舞台で共演した。映画「ブラザー・サン・シスター・ムーン」の主題歌や「平和の祈り」を参加者と一緒に歌うひと幕もあり、静かな「祈り」の調べが堂内に響いた。

 続いて、牧師の三輪地塩さん(日本キリスト教会浦和教会)を交え、カトリック信者の槻宅さんと、槻宅さんからの勧めでギリシャ語、ヘブライ語を習得し、原語で聖書を味わっているという安田さんがトークライブを行い、能などの古典芸能に通じる旧約時代の音楽について掘り下げた。教会での上演はこれで2度目という安田さんは、母音が響く言語と能の謡には親和性があるとし、シュメール語とのコラボにも挑戦中だという。

 槻宅さんは「ドイツの典礼運動と軌を一にして聖書を文献として批判的に研究する聖書学が発展し、聖書はもともと共同体が共有する信仰の指針であったことが再確認された。ただ、聖書が訳され、わかるようになったからといって、本当にわかったことになるのかという課題もある」と、翻訳の難しさを指摘。

 安田さんも、イエスが「深く憐れんだ」と訳されているギリシャ語「スプラグニゾマイ」に「内蔵が揺り動かされる」という意味があることから、今日の日本語で用いられる「憐れみ」とは大きな違いがあると言及した。

 また、「日本語の『祈り』は『い』と『祝詞』の『のり』が語源。具体的な願いを込めるよりも、『主の祈り』がそうであるように、決められた言葉をしっかりと口に出して唱える(宣る)ことが大事」と強調した。

 最後に、三輪さんの提案でヘブライ語の詩編に笛を合わせるという舞台も即興で披露された。

 

互いの良さ認め合う関係を

 続く企画「超宗教系ラジオ全員集合!」では、FMあまがさきで放送中の「8時だヨ!神さま仏さま」、牧師、住職、ムスリムによるポットキャスト番組「超宗教コミュニティラジオ『ピカステ』」、ユー・チューブで3分動画を配信中の「チャーチ・リサーチ☆」からそれぞれゲストを招き、「宗教行事の世俗化」「メディアと宗教」「教会への提言」をテーマにトークを展開。

 当日がハロウィンだったことを受けて、「8時だヨ!」で宮司、住職と共にDJを務める福島旭さん(関西学院就学高等学校教員)は、「仮装が流行する背景には、一瞬でも違う自分を演じてみたいという願望があるのではないか。宗教改革記念日でもあるので、自己変革を促す契機の日になれば」と期待を込めた。ムスリムとして「ピカステ」に出演中のナセル永野さんは、イスラム教における行事を紹介。

 同じく「ピカステ」の中野拓哉さん(日本バプテスト教会連合クロスロード・バプテスト教会牧師)は、番組を作る動機として、「教会や宗教全般の敷居を下げたいと考えていた」と語り、「チャーチ・リサーチ☆」の半田龍一郎さんは、「教会学校で使うような入門書と、牧師や高齢の信徒が読む神学書の間に大きな開きがあり、その中間層はあまり本を読まない。その世代は動画なら見るのではないかと考えた」と明かした。

 教会への提言として、牧師家庭で育ったという「チャーチ・リサーチ☆」の下条のゆりさんは、「礼拝の拘束時間が長い」と語り、半田さんは「建物が敷居になっている側面もあるので、お寺や神社の境内のように、建物外でも参加できるようなコンテンツはないか」と提案した。

 中野さんは、「なるべくいろいろな教会があった方がいい。説教は長い方が良いという人もいるし、短い方が良いという人もいる。正しいかどうかではなく、良さを認め合う関係が理想ではないか」と話した。

 今年は、過去の「いのフェス」に出展した後にイラストレーターになったという女性や、「いのフェス」で出会って婚約に至ったという2人も参加。実行委員会は、今後も地方での開催を実現したいと支援を呼びかけている。

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