社会の中で平和語る使命がある イグナチオ9条の会で英隆一朗神父が講演 2015年11月21日

 カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)の「平和といのち・イグナチオ9条の会」(世話人=光延一郎)が、7周年を記念する集会を10月31日に開催した。シンガーソングライターのよしだよしこさんによるミニコンサートに続き、「教会で平和を語ること――戦後70年に」を主題に、同教会助任司祭の英隆一朗氏が講演=写真。128人が参加した。

 同氏はまず、『カトリック教会のカテキズム要約』の中で社会の変革や正義の実践が大事だと記されていること、また教皇フランシスコの『福音の喜び』の中で「政治生活への参与は道徳的な義務」だと述べられていることを紹介。「わたしたちは責任ある人間として、政治、経済、文化の中で何が正しいのかをしっかり見定めながら、それを実践していく義務を負っている」と指摘した。

 その上で、柄谷行人著『世界史の構造』(岩波書店)から、現代社会は「ネーション」「国家」「資本」の連合体であるという理論を用いて、右翼と左翼の対立を分析。両者の対話が成り立たない理由として「ネーション」を挙げ、「その人の国家を成立させている想像共同体の原則を何に置いているのかの違い」だと説明した。

 左翼の立場は憲法9条をネーションとし、右翼の立場は現行憲法を認めず、明治憲法の原則である尊王攘夷をネーションとしていると解説。日本は「神道」と「天皇」によってネーションを作り、明治の近代国家をスタートさせており、現在の右傾化の流れは止められないと述べ、憲法9条だけでネーションを作るのは難しいと主張した。

 また、柄谷氏の理論から、韓国、中国との関係や謝罪の問題、安保法制やTPP、宗教の問題について考察。ネーションを超える普遍宗教の役割に注目し、「キリスト教徒こそ社会の中で平和を語る使命がある」「福音の価値観、神の国の生き方を基盤にしていく以外にない」と強調した。

 さらに、ネーションからはみ出した貧しい人、弱い人、虐げられている人々と、どのように連帯し、共に希望を見出していけるのかを意識していかなければならないとし、教会の中ではなく外に平和を生きていく、愛を生きていくことが問われていると述べた。

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