缶バッジに母親の平和への思い 「戦争しない」というバトンを次世代へ 2015年11月28日

 「たいせつな命 戦争しない」というメッセージと、たまごのキャラクター「いのちまもるん!」のイラストが描かれた缶バッジ=写真下=が教会から誕生した。製作したのは日本バプテスト連盟上尾キリスト教会会員で、聖学院大学職員の冨岡真奈さん=写真右。3歳と生後5カ月の2人の子どもの母親でもある。政府が「戦争できる国」へと突き進む中、「平和を願う道具として缶バッジを用いてほしい」と呼び掛けている。

 冨岡さんの父親は同教会の秋山信夫牧師。教会の中で育った冨岡さんは、安保法制、沖縄の辺野古基地、原発などへの反対活動に参加する機会が多かったという。安保法案に反対するデモが盛んに行われていた今夏は、出産の直後で足を運ぶことができなかった。「戦争の一番遠くにあるのが、いのちを生み出す行為である出産。子どもを育てようとしている身にとって、これからの日本がこれではいけないと、家の中で悶々としていました」

 そんな時、マタニティマークから缶バッジのアイデアが浮かんだ。「マタニティマークは外から妊婦だとわからない時に効力を発揮します。具合が悪くなった時などに、周囲の人に妊婦であると示すことができる。それと似たような発想です。外を歩いていても、戦争法案に誰が反対し、誰が無関心なのかわからない。意思表示をするために、比較的安く作れるものは缶バッジではないかと思いました」

 イラストが得意な友人の長島陽子さん(太田伝道所会員)にキャラクターデザインを依頼。長島さんも2人の子どもを持つ母親で、すぐに賛同した。「いのちまもるん!」は、いのちを表すたまごを神が創った自然が抱きしめているデザイン。「かわいくて、ずっと付けていられて、人にも配りやすいものを作りたかった」という冨岡さんの願いが結実した。

 あえてキリスト教色を出さないようにしたところが冨岡さんのこだわりでもある。聖書の言葉や十字架を入れなかったのは、布教活動ではないから。「1人でも多くの国民に、無関心な人たちに『戦争をしない』ということが大事だと伝えたかった」。その効果もあり、インターネットを通して医師や学生からも注文が届いている。冨岡さんの子どもが通う保育園でも普及しているという。缶バッジを付けてデモに行くと、「どこで売っているの。わたしもほしい」と声を掛けられることもある。

 これまでに製作した数は2千800個。最初にピンク色のみを200個作り、教会関係者に無料配布してカンパを募ったところ、賛同の声が上がり、販売を決めた。同じ北関東地方連合の教会出身である20~30代の牧師たちも賛同者として普及活動に協力している。バプテスト連盟の大会や、平和を実現するキリスト者ネットの集会などを通して直接販売することもある。

 上尾キリスト教会は日頃から平和への取り組みが熱心だという。秋山牧師は、「これが一つの起爆剤になって、それぞれ違う形で皆さんの〝思い〟が生まれてきたら、よい広がりになる。小さな缶バッジが大きな平和をもたらしてくれるのではないか」と期待を込める。

 冨岡さんは缶バッジを収益事業にするつもりはないと言うが、「もし収益が出るようになれば、それを元手に高校生や大学生などの若者を対象にした憲法集会を開きたい」と話す。

 「自分が母親でなかったら、この活動をやらなかったかもしれない」。缶バッジには、冨岡さんがこれからの子どもたちに託したい平和への強い思いが込められている。「子どもが大人になった時に、『あの時、お母さんはなぜ何もしてくれなかったの』と言われたくない。今までも、自分の知らないところで憲法9条を守る活動をしてくれた人たちがいた。この『戦争をしない』というバトンをなんとしても次世代へつなげなければならない。わたし1人の力はとても小さいですが、神さまが共にいてくださると信じる時、不思議と大きな希望と勇気が湧いてくるのです」

 缶バッジは一つ100円。サイズは、小(57ミリ)と大(76ミリ)の2種類。色はピンク、青、黄色の3色。安全ピンだけでなくクリップも付いており、穴を開けずに取り付けることができる。注文、問い合わせは、冨岡さん(Eメール=mana_a520@hotmail.com)、または上尾キリスト教会(℡048・726・2208)まで。

 

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