イスラム教への関心高いが不安も 第12回「学生宗教意識調査」報告書 2016年1月23日

 「宗教と社会」学会・宗教意識調査プロジェクトと、国学院大学日本文化研究所プロジェクト「デジタル・ミュージアムの運営および教育への展開」のメンバーが実施した第12回「学生宗教意識調査」の報告書が12月に公表された。

 同調査は国学院大学教授の井上順孝氏を責任者として、1995年以来断続的に行われてきた(前回は2012年)。今回の調査は15年4~6月に実施され、全国36の大学(うち宗教系の大学は19)から5773人の有効回答を得た。

 2000年以降増加傾向にあった「信仰をもっている」と回答した学生の割合は今回やや減少し、10・2%(前回は16・1%)。昨年はオウム真理教による地下鉄サリン事件から20年目であり、オウム真理教報道に「非常に関心をもっている」割合は10・9%から12・8%に、「多少関心をもっている」が52%から58・3%に微増した。

 全体的にイスラム教への関心が高い(「大変高い」10・7%、「やや高い」42・4%)一方、モスクに不安を感じる学生の割合が増しており、「かなり不安を感じる」が前回の13・7%から21・3%に増加した。

 また、東日本大震災の翌年に行われた前回調査と比べ、災害時に宗教や宗教家にできる役割が「必ずある」と答えた割合は20・6%から10・4%に半減した。

 今回、05年に調査された首相の靖国神社参拝に関する質問が復活。当時と比べ、「必ず参拝すべきである」と答えた割合が8・5%から12・6%に、「個人的な信仰なら参拝してもいい」も55・7%から67・6%に増加した。反対に「参拝しない方がいい」は24・6%から14・6%に、「参拝してはいけない」は7・6%から3・2%に減少。「新しい国立の追悼施設」については「あってもいい」が48%から59%に増えた。

 井上氏は、「靖国神社の参拝は個人の信仰で行い、国としては特定の宗教と関わりのない追悼施設を作ってもいいではないかといった、きわめて穏当な意見が大半を占めているということは注目していい」と報告書の中で述べている。

 20年にわたり実施されてきた同調査は今回で終了。12回の調査結果を比較研究した報告書が16年度に刊行される予定。これまでの報告書の入手方法は井上氏のサイト(http://www.kt.rim.or.jp/~n-inoue/index.files/jasrs.htm)を参照。

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