「傾聴する精神」が平和の第一歩 阿久戸光晴聖学院理事長が講演 2016年2月6日

 「平和とスピリチュアリティ――21世紀社会へのスピリチュアリティ論の貢献」と題して、聖学院理事長・院長の阿久戸光晴氏=写真=が1月15日、聖学院大学(埼玉県上尾市)で講演した。同大学総合研究所カウンセリング研究センターが主催するスピリチュアルケア研究講演会の一環。62人が出席した。

 阿久戸氏は、神学者パウル・ティリッヒがその著書『組織神学』の中で、個人も社会も、「自己統合→自己創造→自己超越」というプロセスをたどるとしていることに注目し、スピリチュアリティは、その自己超越への渇き、予感ではないかと主張。人間は常に「意味を求める存在」であるが、意味を自分で規定することはできず、自己を超える座標軸からのみ自己認識ができると述べた。

 その上で、冷戦終結後は、安易な「伝統」墨守としての「原理主義」に身を寄せようとする風潮と、ウルリッヒ・ベックの提示する「私だけの『神』」への後退による「内なる世界への引きこもり」の傾向にあると指摘。また、一テサロニケ5・23より、霊・魂・体の三部位の人間観こそ、旧新約聖書の人間観であり、霊とは聖霊ではなく霊性(スピリチュアリティ)であるとして、「人間存在を規定する高次存在のメッセージを傾聴しようとするアンテナ」が人間にあると述べた。

 そして、「平和と正義の固い握手」こそ人類の祈りであるとし、平和を妥協なく実現するためには、自我超越・国家社会集団的自我の超克が必須だと強調。「スピリチュアリティ論が平和に貢献するとすれば、自己にしがみつくのではなく、自己を超越して学び合っていくという『傾聴する精神』を基礎付けることこそが、平和の第一歩ではないか」と述べ、「自己超越的信条こそ、謙虚さと共生の原理であり、平和を目指した対話の基礎となる」と語った。

 当日司会を務めたカウンセリング研究センター長の窪寺俊之氏(同大学大学院教授)が今年度で退官するのに伴い、スピリチュアルケア研究講演会も今回で休会。同氏編著の「スピリチュアルケアを学ぶ」シリーズ6巻目『スピリチュアルケアの心――いのちを育む力・委ねる力』(聖学院大学出版会)は2月刊行予定。

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